為替の落ち着きや信用収縮一段落で底堅い堅調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月15日 16時14分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 昨日の米国市場は大幅高となる場面もあったのですが最後は手仕舞い売りに押されて冴えない展開となり、日本市場も売り先行となりました。ただ、為替も落ち着いていることた昨日までの大幅高の反動からの売りが一巡となった後は売り急ぐ動きもなく底堅い展開となりました。米国株安もギリシャの国債格下げが嫌気されたとのコメントも見られましたが、ギリシャ問題からの金融不安、信用収縮懸念で売られたのであれば、ユーロはもっと売られるのでしょうし、商品相場などももっと下落してもおかしくないはずです。

 欧州景気も決して悪いものではなく、ギリシャ問題に端を発した金融不安もあくまでも不安に過ぎず、実体経済は好調ということなのでしょう。信用収縮の動きもある程度、最初の段階ではギリシャ国債の格下げなどもリスク許容度の低下につながったのかもしれませんが、ギリシャ国債のリスクをかなり大きなリスクとして織り込んだ後は信用収縮=リスク許容度の低下にはつながらなくなっているのだと思います。

 信用収縮からの持高調整も一段落となった感もあり、商品なども「実需」の買いが入ってくるところではないかと思います。もちろん、まだ欧州財政不安の広がりや銀行税などのコスト増、金融規制などリスク許容度を低下させる要因もあるのですが、ある程度のところまでは織り込まれたのではないかと思います。加えて、足元の景気動向も新興国が牽引する格好で順調な回復が見られれば、売り急いだ向きの買戻しなども見られるものと思います。

 「ギリシャ問題」というけれども、「サブプライム問題」と同じでいつの間にか金融機関に対する不審や不安、そしてヘッジファンドなどの仕掛けの対象となったり、ファンドのそのものの資金調達が困難になっての資金の逆流が問題なのであり、実際にものが動いて資金が動いているうちは金融不安もあくまでも懸念されるだけで、企業活動への影響も限定的なのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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