アルプスから氷河が消えるかもしれない松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

» 2010年06月15日 08時55分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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海抜2000メートル付近。雪解け水と白いクロッカス

 もちろん温暖化と氷河の後退により地域の生態系は大きな変化を余儀なくされる。そしてウィンタースポーツ産業や、雄大な氷河の眺めを売りにする観光産業へのダメージも必至だ。

 氷河を守るため冬の終わりに白い断熱シートをかけて夏の融解を防ぐ実験もされている。シートをかけていない部分との違いは歴然で効果は確かめられているのだが、費用と手間がかかる割に効果は小さく、特殊な場所を保護することにしか使えない。

 傾向としてアルプエスの氷河が縮小しているのは間違いないのだが、しかしそれが人間の引き起こした温暖化によるものなのか、自然のサイクルなのか詳しい仕組みは未解明だ。メディアや環境保護団体は有無を言わさぬ反温暖化キャンペーンを繰り広げているが、こういった世論の流れに疑問を感じる人がいるのもまた事実。

 氷河の後退はどの程度で進んでいるのか。次回は具体的なデータを基にして氷河後退と温暖化の様子を追ってみたい。

ラウターブルンネンの牧草地と家屋(海抜約800メートル)。氷河が作り上げた岩壁から流れ落ちる滝の源流は氷河(左)、氷河の上のスキーツアー。右端(先頭)のツアーガイドの先導で氷河を下ってゆく。海抜3400メートル(右)

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