公務員の“高給取り”をどうとらえるか?――人事コンサルタント、前田卓三さん(前編)嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(4/5 ページ)

» 2010年06月12日 00時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

あなたの給与は高すぎる? 低すぎる?

 ここで、読者のみなさまにとっても重大関心事と思われる、「現在の自分の給与がオーバーペイなのか、アンダーペイなのか」という論点について触れておきたい。

 まずは、下の図をご覧いただきたい。これは、職能資格制度を採用してきた歴史の長いメーカーの事例だ。

仕事の価値と給与のギャップ(出典:ヒューマンキャピタルソリューション研究所)

 「縦軸が基本給、横軸が仕事の価値(=PVI、Position Value Index)を表し、各点は個々の社員がどこに位置するかをプロットしています。右へ行くほど、仕事の価値が高いことを意味します。

 職能資格制度は、完全な人基準です。そのため、この図表に明らかなように、右の方に位置する価値の高い仕事をしている人々と、左の方に位置する価値の低い仕事をしている人々が、似たような給料になったり、あるいは、逆転していたりするケースが発生しているんです。これに対して、仕事基準の給与は、真ん中の赤いラインで示されます。

 この企業のようなケースが、中央官庁や地方自治体、大企業や全国の中小企業などに蔓延(まんえん)しており、組織構成員の意識や行動が価値創造と無関係な方向に向かってしまった大きな原因となっています。そして、これこそが、日本全体が競争力を失い、衰退している最大の原因です。付加価値報酬制は、まさに、こうした状況の革新を志向するものなのです」

 市場(顧客)や納税者からの視点で見た場合、自分自身の給与が果たして適正と言えるのか、ひょっとして低過ぎるのではないか、あるいは、まさかもらい過ぎなのか……、その疑問に答え、組織の経営を健全なものへと変えてくれるのが、この付加価値報酬制だと言えよう。

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