ユーロ高や米国株高を好感、買い直されて大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月11日 16時10分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 SQがきっかけになったわけでもないのですが、大幅高となって相場の転換も期待されるような雰囲気になって来ました。欧州での金融緩和が継続されると伝えられたことで、欧州金融不安が薄れ、世界景気の減速懸念も薄れたことで、ユーロが買われ、米国株が買われたことから、日本市場も大幅高となりました。週末ということで手仕舞い売りが出てもおかしくはなかったのですが、これまでの下落過程である程度売りも出尽くした感もあり、手仕舞いの買戻しも交えて大幅高となったものと思います。

 とりあえずは欧州金融不安も一段落となって、景気減速懸念が薄らいだものと思われます。「ギリシャ問題」だの「ハンガリーがどうした」などと言われていましたが、この動きを見るとやはり、金融規制などの「金融引き締め」が金融不安の大きな要因であり、ギリシャやスペイン、ポルトガルなどは根本的な問題は抱えており、財政問題は大きな問題ではあるのですが、足元の景気云々というところでは単純に金融機関の「使えるお金」が問題ということなのだと思います。

 いわゆる「リーマンショック」と言われた「サブプライム問題」に端を発した世界的な金融不安も本質的には現状の問題と変わらず、リスク許容度が極端に低下することによる資金ショートが問題ということだと思います。そしてこの動きは世界のどこにいてもすぐに伝播してしまうもので、ある意味、「資金の流れ」という意味では「デカップリング(非連動)」ではなく「リカップリング(連動)」しているのでしょう。ただ、昨日も述べたように「景気」や「経済の拡大」というところでは「デカップリング」であり、「投資先」という意味ではいつでも世界中に存在しているものと思います。

 個別の企業で考えても会社ごと「安いところ」で買っていれば、こうした景気回復過程では「お荷物」と思われたものが「孝行息子」に変わっているのです。「リーマンショック」の時にも述べて来たことですが、「会社ごと買う」つもりで、目先の株価の動きに惑わされずに投資対象を探してみてもいいのではないかと思います。疑心暗鬼だけで売られ、割安感が強まっている企業も多いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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