景気減速懸念が薄れて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月11日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>

10,172.53 △273.28

<NASDAQ>

2,218.71 △59.86

<為替:NY終値>

91.34-91.4

欧州金融不安後退から景気減速懸念が薄れて大幅高

 ECB(欧州中央銀行)理事会で大量の資金供給の継続が決まったことやECB総裁が流動性供給策の継続に言及したこと、ドイツで緊急融資制度差し止め請求が却下されたことなどから、欧州金融不安が後退、中国の輸出増などに示された足元の好調な景気回復が持続するとの見方が強まり、買戻しや売られ過ぎた銘柄の水準訂正もあって大幅高となりました。資金供給策が示されたことで、信用収縮=リスク許容度の低下に歯止めがかかり、改めて割安感が強まったリスク資産に資金の回帰が見られました。

 金融不安が強まることで足元の好調な景気が減速するのではないかとの懸念が、金融緩和継続が確認されたことで薄れ、改めて好調な業績を見直す動きとなりました。相変わらず「金融政策頼み」ということには変わりなく、抜本的な解決となったわけではないのですが、資金供給さえ滞らなければ景気拡大は継続するということであり、「政策」ではなく、景気が拡大することで資金供給が潤沢になり、金融不安が後退するのかどうかが注目されます。

 個別には景気後退懸念が薄れたことで、景気敏感株が買われ、キャタピラーが大幅高、GE(ゼネラル・エレクトリック)も堅調となり、インテル、アップル、IBMがそろって大幅高となるなどハイテク銘柄も軒並み堅調、欧州金融不安が薄れたことで、金融株も高く、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、アメリカン・エキスプレスは大幅高となりました。ほぼ全面高の中で、ゴールドマン・サックスはCDO(債務担保証券)販売に絡み当局が調査を始めたと伝えられ、軟調となりました。油田サービス会社ベーカー・ヒューズに投資判断の引き上げがあったことから原油流出事故で売り込まれていたシュルンベルジェやハリバートンなど油田サービス会社が高く、原油価格の上昇を受けてエクソン・モービルやシェブロンも大幅高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は前日とは反対に米国市場が軟調となったのですが買い先行となり、大幅高となりました。先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出を控えて動き難いと思われたのですが、持高調整の売りが一巡となり先物のヘッジ買いなども見られて大きな上昇となったものと思われます。ただ、積極的に買い上がるというよりは売り手に乏しい中、SQ絡みの売り買いに振らされたということだと思います。

 米国株が大幅高となったことやユーロ高を好感して、買い先行、堅調な展開となりそうです。先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出日ですが、値ごろ感もあり、SQで処分売りが出ても十分に吸収でき、逆に買戻しが多ければ寄付きから大きく上昇となるものと思います。信用収縮懸念が薄れたことやユーロ安が一段落となったことから、これまで大きく売られた銘柄ほど買戻しも交えて大きな上昇となる可能性もありそうです。ハイテク銘柄や商社株などの戻りが期待されます。中国の経済指標発表も注目され、特に景気減速懸念が薄れたところで、消費者物価が大きく上昇しているようであれば、またぞろ金融引き締め懸念が強まり、上値を押さえる要因となるかもしれません。

 9500円を回復、9500円水準で下げ止まった格好となりました。9,00円〜600円水準での底堅さを確認した格好であり、今度は「アイランドリバーサル」ではなく、5月安値との「ダブルボトム」となるのかどうかが注目されます。教科書的に言うと6月4日の高値=9962円を抜ければ底入れとなるのですが、そこまで厳密に見る必要もなく、節目と見られる9800円〜900円水準を抜けてくれば、今度は9800円〜900円水準の押し目を確認しながら1万円台を目指すことになるものと思います。

本日の注目点

◇株価指数先物オプション6月物の特別清算指数(SQ)算出

◇東証マザーズ上場:ボルテージ(3639)

◇6月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)

◇5月の米小売売上高

◇4月の米企業在庫

◇プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁講演

◇5月の中国消費者物価指数

◇5月の中国卸売物価指数

◇5月の中国工業生産高

◇5月の中国小売売上高

◇1−5月の中国固定資産投資

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