横山裕一「ネオ漫画」の世界にどっぷり浸る(2/3 ページ)

» 2010年06月11日 08時00分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
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 上の写真は、オープニングの日に横山氏と担当学芸員が作品解説をしながらツアーを行ったときの様子。テーブルの内側と外側に人が群がり、互いに違う方向にぐるぐる周りながら作品を読む。人工芝の上をザクザク歩いている人たちの姿は、「ザッザッザッザッ……」という漫画の効果音が聞こえてきそうな感じだった。

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 「ニュー土木」所収「BOOK」より。これは、数人の人(?)が現れ、部屋にある本棚から本を放り投げたり、手裏剣のように相手に投げ、それを刀のようなものでザクザクと切り刻んでいく。

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 「ニュー土木」所収「土木」より。これは横山さん自身が「最高傑作」といっている作品の1つ。横山ネオ漫画の原点とでもいうべき作品だろうか。岩を切り崩し、ローラーでならし、人工芝をしく。その上に落ちてきた大きな岩がエントランスとなり、そこからエレベーターで地下へと向かっていく。

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 これが会場中央に展示された、今回の目玉とでもいうべき作品。雑誌「Web Designing」で連載されていた漫画「ベビーブーム」の没カットを寄せ集めて作ったというコラージュ作品だ。「ベビーブーム」は、それまでの「NIWA」や「トラベル」とはまったく赴きの違う作品。画材をペンからマジックに変え、出てくるキャラクターも、ハードボイルドな人間とはまったく異なるかわいいひよこ(のような人物)やうさぎ(のような人物)や鳥(のような人物)。

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 「ある意味僕が一番関心を寄せているのがこの展示です。この作品の前では、絶対にフラッシュを使わないでください。使ったら本当に通報します。この作品は退色しやすいマジックを使っており、テストで屋外に置いてみたら数時間でピンク色がなくなってしまった。ところどころに線が描いてある紙があるんですが、それは試験紙です。あまりにも退色し過ぎたらこの展示は中止します」と横山氏。

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