米国株安にもかかわらず持高調整の売り一巡から買戻しも入り大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月10日 16時07分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 昨日とは反対に米国株が軟調となったのですが、特に材料視されず、外国人も売り越し(株数ベース)と伝えられましたが金額ベースでは買い越しとなっていたことなどもあり、また、SQ(特別清算指数)の算出への思惑からの買戻しなども見られて堅調となったものと思います。相変わらず市場参加者も少なく、目先の需給要因に振らされる展開には変わりないということなのでしょう。業績の先行きなどへの見通しからの売り買いは少なく、方向感のないなかで先物に振り回されたり、ちょっとした売り買いに振らされているような感じです。

 米国でも引き続き強気になり切れず、何だか落ち着かない相場展開となっています。明日の先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出に絡む先物やオプションの動きに振らされる面もあり、また、中国の注目される経済指標も発表されることもあり、積極的に持ち高を増やすというよりは手仕舞いの売り買い、持高調整尾売り買いが主体の相場となっています。まとまった売りが出れば指数は下押し、ちょっとした買いが入ればすぐに戻すような展開でした。

 中国の景気動向が気になりますが、実際には中国の経済拡大はものすごい勢いで進んでおり、「デカップリング(連動)」か「リカップリング(非連動)」かと言われれば「デカップリング」ではないかと思います。欧州景気の減速、回復の遅れは否めないのかもしれませんが、それ以上に中国やインド、ブラジルなどの「内需」は大きく拡大していると思われます。中国株も軟調だからという向きもありそうですが、中国は経済の拡大と株価指数はかならずしも連動しておらず、株価の動きを見て中国の経済を語ってはいけないところもあると思います。

 中国やインドはこれまでは「輸出」というイメージが強く、特に中国などは「世界の工場」などと言われていましたが、賃上げの問題が取りざたされているように、中国での需要がかなり増えていることには違いないと思われます。また、「サブプライム問題」からの世界同時不況といわれましたが、中国やインドは経済拡大が止まったわけではなく、あくまでも「減速」となったに過ぎず、そういった意味では前回も「デカップリング」であったわけですし、今回はまだ日米すらも「リカップリング」とはなっておらず、新興国主導の景気回復が続いていると見てもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.