独首相発言や欧州金融規制強化を嫌気して売られ軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月10日 08時40分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9899.25▼40.73

<NASDAQ>2158.85▼11.72

<為替:NY終値>91.24-91.3

FRB議長発言などから堅調な展開となったが、独首相発言や欧州金融規制強化を嫌気して売られ軟調

 中国の5月の輸出が大幅に伸びると伝わったことやバーナンキFRB(連邦準備理事会)議長が欧州金融危機が米国経済に与える影響は条件付ながら軽微との認識を示したことなどから、堅調、一時大幅高となる場面もありました。ただ、その後はベージュブック(地区連銀経済報告)でも予想通りの景気改善傾向ということが確認され、利益確定売りなどに押され、独首相が景気刺激策の終了を示唆したことや欧州での金融規制の強化を嫌気して売られ、軟調となりました。

 値ごろ感から買いが入るものが多く、商品相場も中国輸出増への思惑から底堅く堅調となっており、実態経済の改善は続いていると見てもよさそうです。金融不安だけではなく、金融規制強化への懸念が根強く、6月ということもあって、ファンド筋の売りなどが止まらないということなのかもしれません。ただ、欧州金不安が一服となれば、実体経済の改善を織り込むことになるものと思われます。

 個別には金融規制強化懸念からバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株に安いものが目立ち、原油は堅調となったのですが、利益確定売りもあってエクソン・モービルやシェブロンといった石油株、ニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドといった金鉱株も軟調、景気の回復が続くとFRB議長が示したのですが、アップルやインテル、マイクロソフトなどハイテク銘柄は軟調なものが目立ちました。キャタピラーは四半期配当を増やすと発表したこともあり堅調となりましたがGE(ゼネラル・エレクトリック)は軟調となるなど景気敏感株もまちまちとなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国ダウ平均が大幅高となり、為替も落ち着いた展開となって、寄り付き前に発表になった機械受注も予想を上回ったのですが、外国人が売り越しと伝えられたことや米国でハイテク銘柄が売られていたことなどもあり、売り先行となりました。寄り付きの売りが一巡した後も持高調整の売りが続き、5月の安値を割り込む展開となって大幅安となりました。

 米国市場は一時大幅高となるなど、底堅さも見られ、為替も落ち着いていることや昨日の大幅下落の反動もあって底堅い堅調な展開が期待されます。ただ、昨日同様に、6月というファンドなどの決算月であることや週末のSQ(特別清算指数)算出に絡む目先的な需給で振らされる展開となりそうで、方向感が掴み難い相場となりそうです。中国などの新興国の景気は依然として好調、米国景気の回復も続いていると見られ、商品相場の底堅さなども見られることから売られすぎた商社株などは堅調となり、幕間つなぎ的に内需株の一角などが買われるのではないかと思います。

 9500円水準を割り込んで下値を探る展開となりそうです。ただ、昨年7月や11月のように、9000円を意識する水準まで下がるようなことがあれば、達成感から急反発となって来るのではないかと思います。9500円〜600円水準を割り込んだとすれば、今度は9500円〜600円水準で上値を押さえられるようなことになりそうです。明日のSQを控えて動き難いのかもしれませんが、9500円を抜けて来るようであればSQ後には戻りを試す展開となるものと思います。

本日の注目点

◇1−3月期の国内総生産(GDP)改定値(内閣府)

◇5月の企業物価指数(日銀)

◇5月の消費動向調査(内閣府)

◇5月の東京都心オフィス空室率(三鬼商事)

◇5年物国債〔6月債〕入札

◇4月の米貿易収支

◇5月の米財政収支

◇欧州中央銀行(ECB)理事会

◇5月の中国貿易統計

◇米30年物国債入札

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