世界の90%の人たちを相手にするデザインとは?(4/5 ページ)

» 2010年06月10日 08時00分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

 「Pee Poo」という名のプロダクト。これは、何に見えるだろうか。ごみ袋やランチバッグのように見えるが……、携帯用トイレである。名前の由来は「Pee(おしっこ)+Poo(うんち)」というスウェーデン語から。この袋を空き缶などに入れて用を足すのである。このビニールは内側が尿素でコーティングされており、中で尿や糞と触れると酵素分解を行う、非常にハイテクな素材なのだ。

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 Pee Pooを開発している団体は「Peepoople(ピープープル)」という組織で、スウェーデンの建築家アンデルス・ウィルヘルムソンが設立した団体。スウェーデン農業科学大学、スウェーデン王立工科大学、デルフト工科大学が協働して、携帯用トイレなどの開発を行っている。現在、ケニア、バングラディシュなどでPee Pooはテスト的に使われており、作り出した有機肥料の使い道などは検討中とのこと。

 「Sony "Join the Team!"」という名のプロダクト。見てのとおり、サッカーボールである。これはいわゆる普通のサッカーボールではない。植物性のプラスチック素材を用いて作られており、通常のそれと比べて格段に耐久性に優れている。なぜこんなサッカーボールをソニーが開発したか。それは1人のサッカー好きのソニー社員のアイデアから始まった。

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 アフリカなどの国々では、高価なサッカーボールが買えないという理由と、小石やトタン屋根などでサッカーボールがパンクしてしまうことが多い。それならば、ソニーの技術力を使って新しい素材が開発できないか、と同社の環境配慮型プラスチックの開発を手がける部署のメンバーに相談。さまざまな素材を検討し、サッカーボールに最適な素材が選ばれた。

 このサッカーボールは、2010年のワールドカップ南アフリカ大会において、ソニーはJICA(国際協力機構)、UNDP(国連開発計画)と連携したプロジェクト「パブリック ビューイング イン アフリカ」の一環としてアフリカの子どもたちのもとへ配られる予定だ。「ソニー製のサッカーボールを作る」という卓抜したアイデアは、今後どのような形で発展していくのだろうか。

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