売り飽き気分もあって節目での底堅さを確認する展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月08日 16時24分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅下落となったのですが、円高一服ということや昨日の相場で大きく下げていたこともあり、寄付きの売りが一巡した後は堅調な展開になりました。世界的な信用収縮の動きや金融規制強化、金融不安などもあり、積極的に買い上がるうごき、物色対象が広がる動きは見られず、上値も限定的となりました。それでも昨日に続き9500円水準での底堅さも確認されたものと思われます。

 欧州ではいつのまにか、ギリシャ問題がハンガリー問題になり、米国でも「リカップリング(連動)」による景気二番底懸念が出ているということですが、果たして本当にそうなのでしょうか?実際にハンガリーなどは独自通貨があり、ギリシャとは根本的に違い、しかも既にIMF(国際通貨基金)の管理下に置かれており、ここから大きな問題となるとも考え難く、しかも他国への影響もある程度限られてくるものと思われます。

 また、米国の景気二番底懸念も雇用統計が予想を下回ったことなどから言っているのでしょうが、極端に悪化したわでもなくまだその兆しも見られていないのではないかと思います。根本的な問題は「信用収縮」=リスク許容度が低下したことで、ファンドなどのリスクを取る資金が市場から退出したということなのだと思います。つまり、「金融」=お金の流れが細くなったことが要因であり、お金の流れをよくすればまだリスク許容度も上昇して来るということなのです。

 リスク許容度が上昇するときに、実態経済の拡大が伴わない、あるいは投機的な動きが突出してしまうと「バブル」ということになり、現在の状況は「バブル」の沈静化であり、実体経済の拡大に合わせるような「調整」が行われているのだと思います。市場が実態経済を振り回している格好であり、逆に実態経済が主導権を握って市場を動かすようになって来るのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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