ソーラー発電にした方が、“お得”なのか松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年06月08日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 前回は、シュトゥットガルト市近郊の酪農家Aさんの飼育小屋にソーラー発電設備を設置する様子をお伝えした(関連記事)。全くの素人ながら筆者も設置作業に参加し、緩やかに傾斜する南面の屋根に最大出力30キロワット、およそ160枚のソーラーモジュールを設置した。Aさんは酪農を止めてその代りにソーラー発電を始め、すでに行なっているバイオマス発電と合わせ再生可能エネルギー事業に力を入れている。

 今回はこのソーラー設備を例として、ソーラー発電の経済性を検証してみたい。

ソーラー設備を設置した飼育小屋(左)、モジュールの設置(右)

品薄の続くモジュール

 このところの旺盛な需要のためモジュールは品薄が続いている。2009年の世界不況でメーカーは生産量を落としたが今年に入って需要が急回復したため生産が追いかず、注文から納品まで約3カ月かかる。

 ちなみに今回の工事で使用されたモジュールは台湾製だ。筆者に仕事を紹介してくれた知人によれば「アジア製モジュールの品質と性能はここ2、3年、驚くほどのスピードで高まっている。実用上は全く問題ない」。特別な品質や性能を必要としない限り、本場ドイツ製や日本製の「高品質だが高価」なモジュールを購入する必要はないようだ。

 モジュールには1つ1つ製品番号が付けられており、パッケージにその性能検査データが張られていた。例えば下の写真には10個のモジュールの最大出力が書いてあり180.83〜183.30ワットと極端なバラつきはみられない。

モジュールに添付してあった性能検査表

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