1年で5000万円を稼いだ「遺言ビジネス」の真髄とは?(2/2 ページ)

» 2010年06月08日 08時00分 公開
[小野寺洋,Business Media 誠]
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「分かりやすく」したことがヒットの決め手

 一般に「遺言書を書きたい」と思っても、書き方を本やインターネットで調べて、記載内容を決めるまでにも時間がかかる。何より、公式の文書である遺言状は「難しい」というイメージが付きまとい、精神的なハードルも高い。また、記入する用紙やセキュリティ面で安心な封筒を揃えること自体も手間がかかり、結果として、遺言を「自分で書く」ことそのものをあきらめてしまいがちだ。

 その点、この遺言書キットは、余計な手間暇を省き、すべての道具をまとめて揃えられるところが秀逸。また、同封される「遺言虎の巻」は、マンガや分かりやすい説明イラストなどで、初めての人でも十分「書ける」ように作られている。遺言に関する分厚い専門書を読まなくても、このキットだけで遺言書を完成することが可能なのだ。

 しかも、遺言作成中に専門家に質問したい場合は、弁護士へインターネットから法律相談する方法も紹介。まさに、かゆいところに手が届くサービスなのである。

 ちなみに、遺言書は、一度書いたらそれで終わりかというと、そうではない。生きている間に「書き換えたい」欲求が起こる人も多いという。そこでコクヨはこれもビジネスチャンスととらえ、書き換えや予備用に紙や封筒だけが欲しいという利用者の要望に応える形で『遺言書用紙・封筒セット』を682円で販売。顧客のニーズをズバリつかんだ商品を提供している。

難しいことをシンプルにするビジネス

 さて、あなたのビジネスは「難しいこと」を「難しいまま」お客さまに提供していませんか? 「これは理解が難しいから」「コアなユーザーであればきっと分かるから」と思って、分かりやすい説明を面倒くさがったり、省略したりしてはいませんか?

 自分が「選ぶ」立場になって考えてみてください。例えば同類の数冊の本をパラパラめくってみて、「こっちの解説が分かりやすそうだから」という理由で、分かりやすそうな本を選んだ経験はありませんか? お客さまはすぐそこまで手を伸ばしているのに、「分かりにくい」という理由で、商品の購入をあきらめてしまう。逆の見方をすれば、商品そのものでは差が付きにくくても、「分かりやすい解説」で類似商品と差を付けることができるのです。

 これはビジネスにおけるプレゼンテーションなどでも同様。もし2つのプレゼンテーションが同じ内容であった場合、分かりやすい方が承認されやすいというのは、多くのビジネスパーソンが身をもって経験していることではないでしょうか?

 これを機会に、あなたが携わっている商品やサービスの「分かりやすさ」を、ぜひ一度見直してみてはいかがですか? (小野寺洋)

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