コラム
» 2010年06月04日 08時00分 UPDATE

若手社員をしかる時、上司は何を考えるべきか

若手社員をしかったり、ほめたりする時、どこにポイントを置いているだろうか。社会心理学者のワイナーは、失敗したら「努力不足ややり方」をしかり、成功したら「才能や能力」をほめるのがコツと説明しているという。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 失敗した人をしかる時には、「アホか」「センスないなあ」などと言わずに、「もうひと踏ん張りしたら良かったのに」「少し工夫が足らなかったんじゃないか」などと言うほうが良い。成功したり、うまくいったりした人をほめる時には、「よく努力したなあ」「積み重ねが実ったね」などと言うよりも、「あったまイイねえ」「やっぱり素質あるよなあ」と言うのが良いそうです。

 社会心理学者のワイナーは「成功と失敗の原因を何に求めるか」ということと、「動機付け」の関係から、このことを説明しています。

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 成功や失敗の原因のうち、自分でコントロールできて、安定している原因は「能力」。自分でコントロールできるが、一定レベルをキープしにくい原因は「努力」。自分でコントロールできないけれど、安定している原因は「課題の難易度」。自分でコントロールできない上に、不安定な原因は「運」。

 というように成功や失敗の原因を整理し、上司として部下に対して、何をほめ、何の反省を求めれば良いかを考えると、「仕事の成功をほめる時には本人の能力をほめ、失敗の反省を促す際には本人の投入した努力の量と質について内省をうながすことが重要である」と言っています。失敗したら「努力不足ややり方」をしかる、成功したら「才能や能力」をほめるのがコツであるということです。

実際は逆をやってしまいがち

 ところが、実際には逆をやってしまうことが多い。つまり、失敗すると「才能」を叱る、成功したら「努力」をほめる。才能をしかってしまうと、「ダメ」という烙印を押されたように感じさせてしまうので、「もうちょっと頑張ったらできるはず」とは思わないでしょうし、努力をほめても、「頑張ったからだ」と言われているのですから、「オレってスゴイかも……」というような気持ちの高揚は生まれません。

 とは言え、振り返れば昔の上司はほとんど逆をやっていたようにも思います。失敗したら「アホ、ボケ、カス」とその能力をけなすような発言が多かったですし、成功しても「やるじゃん」「やるやるとは思ってたけどなあ」とかよく意味の分からない言葉くらい。

 私などアホ・ボケ・カス以下ということでミジンコと言われていましたが、それでも「今日から名前で呼んでやろう」と言われてちょっとうれしかったり、「やるじゃん」のひと言でも十分やる気になったりしたもので、しかり方・ほめ方を考えないといけないのは世代の差と言うしかないのでしょうか。ただ、仮に今の若い世代が、上司のしかる・ほめるに昔より敏感だとすると、上司として努力をしかり、才能をほめる方式に変えてみるのも1つの手かもしれません。(川口雅裕)

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