お金を貸してくれないかも……企業の約5割が「倒産の増加」を懸念(1/2 ページ)

» 2010年06月03日 16時09分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 借り過ぎ・貸し過ぎを防止する総量規制やグレーゾーン金利の撤廃などを定めた改正貸金業法。2010年6月18日に完全施行されるが、この法改正のメリットはどこにあるのだろうか。企業に聞いたところ「過剰貸し付けの抑制」(54.5%)が最も多く、次いで「多重債務者の減少」(49.0%)、「上限金利の引き下げ(グレーゾーン金利の撤廃)」(46.2%)であることが、帝国データバンクの調査で分かった。

 一方のデメリットは「緊急の少額借入の困難化」(50.7%)と答えた企業が最も多かった。法改正により、個人事業主あるいは法人企業のいずれかの倒産が増加すると考えている企業は48.6%に達した。業種別に見てみると「金融」は53.1%となり、過半数が「倒産の増加」を懸念しているようだ。また約3割の企業は「消費の低迷を助長」(29.3%)と、経済への悪影響を懸念していることがうかがえた。

 企業からは「長期的には高金利の貸出の排除は個人破産の抑制につながり、社会的にも自殺防止によい」(ソフト受託開発)や「過度な価格競争を避け、デフレ脱却のためにも必要」(冷凍調理食品製造)という声のほか、「短期的には消費は後退するが、長期的には消費の健全化につながる」(労働者派遣)といった、長期的なメリットを挙げる企業が目立った。その一方、「病気や学費、冠婚葬祭等の緊急のお金に対する対応が困難となる」(建設)や「受注が目前にあっても、当座の資金に困窮するため機器などの購入が困難になる」(建設機械卸売)など個人・企業双方の緊急時の借入困難化を指摘する意見が多かった。

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