そうやって見てくると、やはり最も懸念すべきはソブリンリスクだ。ギリシャを見ていたポルトガルやスペインは、歳出カットによる財政再建を余儀なくされる。英国も同様だろう。まだEUの経済は、回復軌道に乗っているとは言っても、それこそ日本と同様に自律回復力は弱い。いわゆる出口戦略を採用するには時期尚早であるだけに、財政再建へ舵(かじ)を切れば、景気の足を引っ張ってしまうことはほぼ確実である。
金融危機から経済を救ったのは各国の政府だったが、いまやその政府こそが問題になっている。その政府を誰が救うのか、この問題はそう容易には解けそうにない。そしてEUが景気の二番底をつければ、輸出で一息ついている日本もその影響を受けるだろう。もちろんまだ足元の危うい米国も同様だ。一時は、二番底に陥る可能性は低くなってきたと菅財務相は語っていたが、まだそうは簡単に問屋が卸しそうにない。
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