米国株高や円安を好感して大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月28日 16時31分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅高となったことや為替が円安となったことから大幅高となりました。後場に入ってからは大手生保の東証株価指数(TOPIX)への算入の思惑やユーロ安となったことから上値の重くなる場面もありましたが、信用収縮からの持高調整の売り一巡感もあり、週末の手仕舞い売りも下値を売り急ぐ動きもなく値持ちの良い展開が続き、最後は売り買い交錯となりましたが、買戻しも多く、大幅高となりました。

 「ギリシャ問題」と言われていましたが、本当のところ信用収縮からの持高調整で世界的な株安となっていたようです。リスク許容度が極端に低下し、リスクを減らさなければならない投資家(投機家)がリスクを減らすために株や商品を売ったことが大きな要因です。きっかけはギリシャの財政悪化なのかもしれませんが、いわゆる「リーマン・ショック」と同じで、あくまでもきっかけに過ぎず、需給悪化が大きな下落要因ということなのです。

 つまり、需給悪化が止まる、あるいは商品のように「実需」の買いが入り底堅さが見られれば今度は株価や商品価格が下げ止まることでリスク許容度が上昇し、リスクをとれる資金が流入してくるということなのでしょう。下落となる場面でも上昇する場面でもこうした投機的な資金で「行き過ぎる」ことが多いのでしょうし、大きな流れの中で見れば、その流れを変えてしまうほどの売りなのか買いなのかを見ることが大切ということなのでしょう。

 今のところ投機的な資金の流出=株価の下落が景気を悪化させる要因にはならないという見方でいったん下げ止まったものと思います。今度は下げ止まることによってリスク許容度の低下が止まり、景気の回復が、経済の拡大が信用収縮を振り払うようなことになりのか経済規模の拡大が新たな投資家を増やし、リスク許容度を上昇させることが出来るのかどうかが注目されることになるのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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