ユーロ安を嫌気して売られダウ平均は1万ドル割れ清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年05月27日 08時33分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9974.45▼69.30

<NASDAQ>2195.88▼15.07

<為替:NY終値>89.89-89.95

経済成長率見通しの上方修正を受けて一時大幅高となるもユーロ安を嫌気して売られダウ平均は10000ドル割れ

 引き続き好調な経済指標の発表やアジアや欧州株式が堅調となったこと、またOECD(経済協力開発機構)が加盟国の2010年の実質成長率を上方修正したことから世界的な景気回復を確認するように堅調な始まりとなりました。朝方発表された耐久財受注や午前中に発表された新築住宅販売件数が予想を上回ったことから半導体株など景気敏感銘柄が買われ大幅高となりました。ただ、午後になって中国がユーロ加盟国の国債保有を見直していると報じられたことや欧州での金融規制強化を嫌気する動きからユーロが売られると信用収縮から手仕舞い売りがかさんで軟調となりました。

 経済指標や景況感は悪くないのですが相変わらず金融規制強化などを嫌って信用収縮=リスク資産からの逃避が続いているようです。米国では超低金利が継続されるであろうと見られていることや住宅関連の指標など経済指標は引き続き改善傾向が続いていることから、慌てて売ることもないと思われるのですが、信用収縮=リスク許容度の低下がいっこうに止まらないということなのでしょう。

 個別には投資判断の引き上げや中東の政府系ファンドが興味を持っていると報道されたシティグループが堅調、同様に投資判断が引き上げられたボーイングも高くなりました。朝方発表された決算で赤字幅が縮小したことや住宅関連指標の好転を受けてトール・ブラザーズも堅調となりました。信用収縮から手仕舞い売りがかさんでマイクロソフトが大幅下落、マクドナルドやコカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブルなど最後まで保有していそうな銘柄が売られて軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株の底堅さなどを好感して堅調となりました。持高調整の売りはまだ出ていたようですが、指数の入れ替えなどの思惑もあり、TOPIXは小幅安となりましたが、日経平均は堅調となりました。これまで大きく売られていた銘柄の反発も見られ、海外での商品相場の動きや為替動向などと関係のないところで、目先の需給だけで上げ下げしているという感じでした。下げ止まりはしたものの底入れ感が強まったわけでもないのですが、何かのきっかけて底入れのタイミングを見ているとすれば、そろそろ底入れとなっても良いところです。

 米国株が軟調となったことやユーロが安くなったことから再度下値を試す展開となりそうです。信用収縮が続いているということで持高調整の売りが続けば大きな下落になるのでしょうし、これまでの相場がある程度出切ったと言うことであれば、ユーロ安の業績への影響の大きなハイテク銘柄や精密株、機械株の一角を除いては底堅い、堅調な展開となりそうです。海外で商品相場は堅調となったことで、売られすぎた感の強い、商社株や非鉄株などに買いが入れば相場の下支えとなるものと思います。

 引き続き日経平均は9500円水準での底堅さを試すことになりそうです。9400円台で下げ止まれば為替に落ち着きが見られるところ、持高調整の売りが一服となるところではすぐに9500円台に戻ると思われ、できれば9400円台後半、少なくとも9400円台が保てるのかどうかが注目されます。9400円台で底堅さが見られると9400円台後半まで買い戻される場面もありそうで、9300円台に突っ込むようなところでも買いが入らないと今後9000円を意識する水準まで下がる場面も出てくるのでしょう。

本日の注目点

◇4月の貿易統計(財務省)

◇2年物国債〔6月債〕入札

◇経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会(パリ、28日まで)

◇3月期決算:日本生命、住友生命、明治安田生命、三井生命、富国生命、朝日生命

◇1−3月期の米実質国内総生産(GDP)改定値

◇7年物米国債入札

◇4月の香港の貿易統計

◇海外3−5月期決算:コストコホールセール

◇海外2−4月期決算:ティファニー

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