金融規制緩和期待から下げ幅縮小清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年05月26日 08時59分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10043.75▼22.82

<NASDAQ>2210.95▼2.60

<為替:NY終値>90.23-90.29

リスク資産からの逃避が進み一時大幅安となるも金融規制緩和期待から下げ幅縮小

 銀行間金利の上昇や北朝鮮をめぐる地政学リスクなども取りざたされ、欧州金融不安とあいまってリスク資産からの逃避の動きが進み、ダウ平均は一時大きな下げとなる場面もありました。ギリシャ問題に端を発した金融不安がさまざまなリスクを顕在させることになり、世界的な規模で一斉に信用収縮、リスクからの逃避の動きとなったものと思います。ただ、米金融当局高官の発言や米金融規制も限定的となるとの見方から金融株を中心に切り返し、軟調とはなったものの下げ幅を縮小しました。

 朝方発表された住宅価格指数が前年同月比で上昇となったことや5月の消費者信頼感指数が3カ月連続で改善し、予想を上回ったことなど、相変わらず経済指標は順調な景気回復を示すものも多く、リスク資産圧縮の動きが一段落となれば、景気回復、業績回復を織り込む格好となるものと思います。過度に信用収縮に対して反応しているような感じですが金融不安が景気を悪化させるのか景気が好調で金融不安を緩和させることになるのか、見方も分かれる水準ではないかと思います。

 個別には米金融規制で下院金融サービス委員長が金融派生商品(デリバティブ)取引の金融機関からの分離に関し慎重な考えを表明したことが好感されてゴールドマン・サックスが大幅高、連れてバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースが高くなるなど金融株が総じて底堅い堅調な展開となりました。値ごろ感からの買いが入り、インテルやIBMが堅調、キャタピラーやホーム・デポも高いなど景気敏感銘柄の中にも高いものが見られました。商品市況は軟調となったのですが金先物は安全資産として買われ、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングが高く、アルコアなど素材株の一角も堅調となりました。ただ、信用収縮の動きからコカ・コーラやプロクター・アンド・ギャンブルなどディフェンシブ銘柄の一角は手仕舞い売りに押されて軟調となるものも見られました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や円高を嫌気して売り先行となり、信用収縮からの持高調整の売りが続いて大幅下落となりました。株が売られることで為替が円高になり、円高になることでさらに見切売りが出るというような状況で大きな下落となりました。欧州の金融不安や金融規制を嫌気する動き、米国の金融規制強化を懸念する動き、中国の金融引き締めを心配する動きに加え、北朝鮮の問題も浮上、ますますリスク許容度が低下したことで持高調整の売りが嵩んだものと思います。

 米国市場は軟調、為替も一時大幅に円高となりましたが落ち着きを取り戻したことから日本市場も底堅い堅調な展開が期待されます。昨日の相場で欧米株や為替の混乱も織り込まれたものと思われ、信用収縮からの持高調整の売りも一段落となって底堅い堅調な展開となって来るのではないかと思います。ユーロ安ということには変わりなく、ユーロ安の影響の大きい銘柄などは買い戻し一巡後は戻りも鈍くなるのでしょうが為替の影響の小さい銘柄や新興国や国内向けが好調な銘柄などは買い直されるのではないかと思います。

 日経平均は節目と見られる9500円を割り込みましたが、「水準」ということでは9500円水準で下げ渋ったということになりそうです。この水準を割り込むと昨年7月や11月の9000円を意識する水準まで下落となるのでしょうが、業績面からの割安感や騰落レシオや移動平均からの乖離などテクニカル的な売られ過ぎの反動もあり、円高一服となれば戻りを試すことになるのでしょう。9800円〜900円水準まで戻らないと底入れ感が出ないのでしょうが、とりあえずは9500円水準での底堅さを確認するような展開となって来るのではないかと思います。

本日の注目点

◇4月30日分の日銀金融政策決定会合議事要旨

◇4月の企業向けサービス価格指数(日銀)

◇バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が日銀で講演

◇白川日銀総裁が講演

◇安東日証協会長会見

◇4月の米耐久財受注額

◇4月の米新築住宅販売件数

◇5年物米国債入札

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