経済指標は好調だが欧州での規制強化を嫌気して大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年05月19日 08時23分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10510.95▼114.88

<NASDAQ>2317.26▼36.97

<為替:NY終値>92.22-92.28

経済指標は好調だが欧州での規制強化を嫌気して大幅下落

 朝方発表された4月の住宅着工件数が予想以上に増加景気回復を織り込む格好で買い先行となりましたが、EU(欧州連合)でファンド規制案が決まったことやドイツ政府が一部の株式などに空売り規制を導入すると伝わり、ユーロが大きく売られ、信用収縮懸念が強まって、米株式も売り優勢となりました。個人消費などにも回復が見られ、企業業績は好調とされているのですが、規制強化で銀行の収益が圧迫されるのではないかとの見方も強まり、景気全体の先行きに対する警戒感からリスク許容度が低下、大きな下落となりました。

 欧州経済の動揺が様々な形で現れ、金融市場を振り回している感じです。米国企業の決算は順調に回復、予想を上回る業績となっているものも多いのですが、業績回復や景気回復も金融不安が足を引っ張る格好となっています。欧州発で世界的な資金の流れが滞り、あらぬ方向に流れてしまっているところに規制が強化されるということでますます資金の流れが止まってしまうということなのでしょう。

 個別には朝方好決算を発表したウォルマートが買われダウ平均採用銘柄の中で唯一上昇、引け後に決算発表を控えたHP(ヒューレット・パッカード)は見切売りもあって軟調となりましたが、好決算となったことから、時間外取引では急反発となっています。規制強化が直接収益悪化につながるとして金融株が売られ、シティグループやゴールドマン・サックス、アメリカン・エキスプレルなどが大幅安、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど銀行株も軟調となりました。引き続き原油価格が軟調ということで、エクソン・モービルやシェブロンも安く、商品市況には下げ渋りも見られましたがアルコアも軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場はユーロ安が一服となったことや米国市場も底堅く堅調となったことなどから、買い先行となりました。ただ、ユーロが再び軟調となるなど落ち着かないことや中国の金融引き締めや景気鈍化懸念も根強く、指数も上値が重く、上値の重さを嫌気するような売りや持高調整と見られる売り買いが出ると軟調となりました。日経平均はかろうじて小幅高となりましたが、TOPIX指数などは軟調となり地合いの悪さを物語る結果となりました。

 引き続きユーロが売られていることや米国市場が大幅下落となったことから、売り先行となりそうです。米国景気そのものはまだまだ好調といえるのでしょうが欧州発の金融不安や規制強化の動きが世界的な資金の流動性を阻害するような格好でリスク資産からの逃避を促しており、日本市場も軟調な展開が予想されます。金融株やユーロの影響の大きなハイテク銘柄はまだ買える状況ではないということでまた下値を探る動きとなるのでしょうが、足元の業績回復が期待されるディフェンシブ銘柄や内需株、円高メリット株などが幕間つなぎ的に物色されることになるのでしょう。

 日経平均は引き続き10100円台半ばから200円台半ばの下値を固める動きとなるものと思います。ヘッジファンドなどの手仕舞い売り、持高調整の売りが嵩むようであれば、10100円台を割り込むと、一気に10000円水準までも割り込んでしまうことも考えられますが、欧州の金融不安が中国の金融引き締め懸念を緩和するようなことになれば、内需銘柄に加えて新興国関連銘柄などにも押し目買いが入り、しっかりと10100円台半ばで下げ止まり底堅さも見られるものと思います。

本日の注目点

◇3月の鉱工業生産指数(改定値)

◇3月の景気動向指数(改定値)

◇4月の米消費者物価指数

◇ギリシャ約85億ユーロの国債償還日

◇米FOMC(連邦公開市場委員会)議事録要旨公表

◇3月期決算:T&DHD(8795)

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