欧州景気悪化懸念の広がりを嫌気して大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年05月17日 08時36分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10620.16▼162.79

<NASDAQ>2346.85▼47.51

<為替:NY終値>92.46-92.52

欧州景気悪化懸念の広がりを嫌気して大幅下落

 引き続きギリシャ問題に端を発した欧州景気の鈍化から世界的な景気後退につながるのではないかとの懸念やリスク許容度の低下を嫌気して大幅安となりました。朝方発表された小売売上高は予想を上回るなど相変らず足元の経済指標は好調なのですが、欧州株から大きく下落したことでもわかるように、信用収縮の動きは続いているというこことのようです。欧州が緊縮財政に動くと歳出削減や資金供給が減少するのではないかとの懸念が根強いということのようです。

 足元の景況感は悪くないのですが、欧州金融不安が根強いことで先行きに対する懸念が強まり、手仕舞い売りを急ぐ展開となっています。欧州景気悪化のリスク、信用収縮のリスクが強く手仕舞いが優勢となっているものと思われます。季節要因としてファンドの決算絡みであれば一過性のもので済むのですが、欧州での金融不安が一朝一夕に解決する問題でもなく、ユーロ圏での流動性がしっかりと確保できるのかどうかが注目されます。

 個別には欧州金融不安、信用収縮の動きからバンク・オブ・アメリカやアメリカン・エキスプレスが大幅下落、JPモルガン・チェースやシティぐるぷが軟調となるなど金融株が軒並み安く、4月の小売売上高は予想を上回ったものの、四半期決算と併せて発表した業績見通しが慎重と見られたJCペニーや四半期決算が予想を下回ったノードストロームなど百貨店株が安く、ウォルマートも軟調となりました。ハイテク銘柄はヤフーは堅調となったものの、インテルやアップル、IBMなど景気腰折れ懸念から手仕舞い売りに押されるものが多く見られました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株安や円高を嫌気して売り先行となり、大幅安となりました。足元の決算は好調ですが業績見通しが慎重なものが多く、先行きに対して懸念が強いことも嫌気されたものと思います。週末ということで持高調整の売りも多く、指数を下押す場面もありました。ただ、為替が円安に振れる場面では買戻しを急ぐ動きも見られて、下げ幅を縮小する場面もあり、持高調整の売りが一巡となると戻りを試す動きとなるようです。

 欧米の市場が軟調、大幅下落となったことや為替が円高にふれたことから日本市場は引き続き軟調となりそうです。特に対ユーロで大きく円高となったことから欧州市場での売上比率の高いハイテク銘柄や機械株の一角などに大きく売られるものが見られそうです。ただ、既に先週末に大きな下落となっていることやファンド筋の売りが一巡となれば、底堅さも見られるものと思います。決算発表もほぼ出揃って来ましたが、足元の業績が好調とされる内需株などが幕間つなぎ的に買われて指数を下支えることになるのかどうかも注目されます。

 引き続き日経平均は10100円台半ばから200円台半ばを下値に上値は10500円〜600円程度のもみ合いの中での動きとなっています。業績面からはもう一段上の水準になってもおかしくなさそうで、欧州の金融不安が薄れるとか、持高調整の売りが一巡となってくれば10500円〜600円水準を底値に上値を目指すことになるものと思います。業績面での裏付けもあり、欧州での金融不安が景気後退につながることがなければ10100円台半ばから200円台半ばの下値は固いのではないかと思います。

本日の注目点

◇3月の機械受注統計(内閣府、8:50)

◇4月の企業物価指数(日銀、8:50)

◇4月の首都圏・近畿圏マンション市場動向(不動産経済研究所、13:00)

◇3月期決算:電通(4324)

◇5月のニューヨーク連銀景気指数

◇5月のNAHB(全米住宅建設業協会)住宅市場指数

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