『アバター』と『イングロリアス・バスターズ』どっちがファンタジー?映画でポン!(2/3 ページ)

» 2010年05月17日 11時00分 公開
[櫻井輪子,Business Media 誠]

エイワのお告げは絶対だよ

佐々 だってあのナヴィ族のヒロイン、自分で敵を招いてエッチまでしちゃって、大事なところ(土地的に)まで奪われそうになっちゃって、何だかなあ、って感じだよ。わし的に萌えキャラでもないしさ。

わこ エイワのお告げがあったんだからしょうがないじゃないの。お告げがなかったら、出会ったときに主人公のジェイクはヒロインのネイティリに殺されて即終了だよ。エイワはあの世界の絶対神、そのお告げはあの世界のお約束なんだからさ。お約束にケチつけるのやめようよ……。

佐々 オリジナルで創るなら、いままでの神話的ストーリーをなぞるんじゃなくて、もうちょっと目新しい視点がほしかったってことじゃよ。

わこ この話は見たことあるような神話でもあるけど「肉体を損傷して人生を諦めていた男がアバターを通して再生する物語」でもあるんだから。主人公のジェイクはナヴィ族の考え方に感化されてリスペクトするに至り、本当の自分がどっちだか分からなくなってきたりして、ナヴィと人類との間で苦悩してる。人間の中にも軍人と科学者とビジネスマンの派閥があって揉めてるしさ。いうほど単純な話じゃないような……。それに、何たって眼福感のある映像の美しさったらない。ストーリーのあら探しばっかりしてる人って、あのビジュアルイメージに圧倒されないのかな?

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佐々 それだって、宮崎アニメのパクリじゃないか! 「ラピュタは本当にあったんだ!」とかって喜んでばかりもいられないっての! 樹木を通じて記憶を共有するあたりなんか、まるで「攻殻機動隊」だし。宮崎も押井もロイヤリティ何パーセントかもらったほうがいいんじゃねえか?

わこ ちょっと待って、そこがすごいとこだと思うんだよね、逆に。

佐々 どこがだよ?

わこ だって宮崎駿と押井守だよ? 日本のアニメ界の二大重鎮っつーか、二大派閥っつーかさ、この2人の作品イメージを融合しようなんて発想、日本人だったらなかなか出ないよ? ナウシカ的世界に攻殻的な概念が共存できるなんて……、「すげー、オタクとしてすげーよ! ジェイムズ!」と感心した。

佐々 うーむ、そう来たか。でもあれ、そういうつもりじゃなくて、単にネイティブアメリカン的な自然崇拝に科学的な根拠がほしかっただけにも見えねえ? 樹木の根を通じてインターネット的なネットワークを形成してるなんていう裏付けがないと自然を敬うこともできないのかよ……、これだから○○スト教徒は! って呆れちゃう。

わこ 世界の半分を敵に回すような発言は謹んでください……。しかしまあ、多神教的なものが身に染みちゃってる私らなんかからみたら、たとえ余計な根拠でも多神教的なものの考え方の入門には丁度いいんじゃね? あの人ら聖書に道徳丸投げし過ぎだもん、ちょっとは考え方改めたほうがいいよ。

佐々 お〜ま〜え〜、よっぽど怖いこといってるぞ。『イングロリアス・バスターズ』のオチくらい怖い。

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