インタビュー
» 2010年05月16日 20時52分 UPDATE

あなたの隣のプロフェッショナル:ハリウッド・スターの光と影――マイケル・J・フォックス (1/6)

『バック・トゥー・ザ・フューチャー』『摩天楼はバラ色に』など多くの作品に主演したマイケル・J・フォックス。29歳のときに不治の病・パーキンソン病に冒された彼は現在、どのように生きているのだろうか……?

[嶋田淑之,Business Media 誠]

「あなたの隣のプロフェッショナル」とは?:

 人生の多くの時間を、私たちは“仕事”に費やしています。でも、自分と異なる業界で働く人がどんな仕事をしているかは意外と知らないもの。「あなたの隣のプロフェッショナル」では、さまざまな仕事を取り上げ、その道で活躍中のプロフェッショナルに登場していただきます。

 日々、現場でどのように発想し、どう仕事に取り組んでいるのか。どんな試行錯誤を経て今に至っているのか――筆者は、「あの人に逢いたい!」に続き、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏です。本連載では、知っているようで知らない、さまざまな仕事を取り上げていきます。


 銀幕のスターというのは、不思議な存在である。映画の中の役柄のイメージは、それを見た人々の中で、いつしか永遠化する。何年経とうと、記憶の中の彼(彼女)は、いつまでもその時のままだ。例えば映画『ローマの休日』を愛する人にとって、オードリー・ヘップバーンはいつになっても、アン王女のままであるように……。

 しかしスターといえ、いつかは生身の人間として、老いや病気に立ち向かわなければいけないときが来る。それが早いか遅いかの差はあるにせよ、そうなった際の彼らの対応は、さまざまだ。銀幕のイメージを大切にするため、姿を隠して生きる人。過酷な現実を受け入れがたく、自ら命を絶つ人。病気との対決を宣言し、闘病の様子を伝え続ける人――。

ay_fox03.jpg マイケル・J・フォックス『いつも上を向いて 超楽観主義者の冒険』。芸能界を引退後、自身の名前を付けた財団を設立。パーキンソン病患者のための活動を続ける日々をつづる

 カナダ出身の俳優、マイケル・J・フォックス(1961〜)は、病気をきっかけに、人生の新しい使命を見出し、活発な社会活動を展開するという生き方を選んだ1人だ。テレビドラマ「ファミリータイズ(家族の絆)」で人気を博し、映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」(全3部作)の大ヒットで世界的なトップスターになった。映画「摩天楼はバラ色に」、テレビドラマ「スピン・シティ」などさまざまな作品に出演、ゴールデングローブ賞、エミー賞、俳優協会賞などを受賞している。

 しかしマイケルは1998年、不治の難病パーキンソン病にかかっていることを公表した。発症したのは1990年、実に8年以上も病気を隠しながら俳優業を続けていたことになる。2000年には芸能界をセミリタイアし、パーキンソン病治癒を目指した財団を設立。現在に至っている。

 この一連のプロセスは、彼の著書『ラッキーマン』と、続編『いつも上を向いて 超楽観主義者の冒険』において詳細に語られている(いずれも入江真佐子訳、ソフトバンクパブリッシング)。芸能人の本はゴーストライターが執筆することが多いが、どちらもそれをせず、マイケル自ら口述筆記で著した本である。構成、内容ともに、いわゆる芸能人本とは一線を画す内容となっている。

 今回、この2冊の翻訳者である入江真佐子さんにお話を伺うことができた。本の内容はもとより、翻訳であることを忘れさせる入江さんの美しく正確な日本語に魅了された私であったが、実際にお目にかかった入江さんのお話もまたたいへん興味深いものであった。

 そこで本記事では、『ラッキーマン』と『いつも上を向いて 超楽観主義者の冒険』の内容を下敷きにして、マイケル・J・フォックスの人生ドラマを概観したい。次週掲載記事では、入江真佐子さんの翻訳家としての思いや、両著作を訳出するに当たっての苦労話、エピソードなどをお聞きしてみたいと思う。

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