欧州金融不安が薄れ、改めて景気回復を織り込む形で大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年05月13日 08時54分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10896.91△148.65

<NASDAQ>2425.02△49.71

<為替:NY終値>93.28-93.34

欧州金融不安が薄れ、改めて景気回復を織り込む形で大幅高

 スペインの緊縮財政計画や各国中央銀行のドル資金供給、ユーロ圏の今年1−3月期の実質成長率が予想を上回ったことで欧州金融不安が薄れ、企業業績の回復を織り込むように大幅高となりました。好調な経済指標や先行きへの楽観的な見方も多く、欧州金融不安や先週の「誤発注問題」が一段落となると買戻しを急ぐ動きも見られるようです。景気敏感株やハイテク銘柄など業績回復が鮮明になっているような銘柄が改めて買い直されるような動きで大幅高となりました。

 リスク許容度の低下=信用収縮懸念が薄れると業績好調ながらも目先の需給要因で売られたような銘柄を買い直す動きとなりました。欧州金融不安や米国の金融規制強化懸念、中国の金融引き締め懸念は完全に払拭されたわけではないのですが、「リスクが取れる」と言う状況になれば実態経済の回復に合わせて業績好調とされる銘柄などを改めて物色する動きとなり、売られすぎた銘柄、好業績を見込みながらも売られた銘柄などが買われて市場のセンチメントも一気に好転したようです。

 個別にはIBMやインテルが強気の見通しを表明したことで買われ大幅高となり、連れてハイテク銘柄が軒並み堅調となりました。金価格が上昇となっていることで、ニューモント・マイニングが堅調、信用収縮懸念が薄れて商品市況も堅調なものが多く、アルコアなど素材株も高くなりました。金融不安が薄れて改めて景気回復を織り込む格好となり、キャタピラーが大幅高、GE(ゼネラルエレクトリック)が堅調となるなど景気敏感銘柄も高くなりました。モルガン・スタンレーは検察が捜査をしていると伝えられたことで一時大幅安となるなど軟調となりましたが、ゴールドマン・サックスは大幅高となりました。好決算を発表したメーシーズは大幅高となりました。シスコシステムズは好決算が期待されて大幅高となっていましたが、引け後に予想を上回る決算を発表したものの出尽くし感から時間外取引では売られています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は買い先行で始まったものの、持高調整の売りが続き軟調となりました。それでも、一昨日ほどの売りもなく、買戻しや好決算に反応する動きもあって底堅さも見られました。米金融機関の金融派生商品(デリバティブ)取引に絡んで検察の捜査が入ったなどと言うニュースも流れ、信用収縮の動きが強まるのではないかとの懸念もあり売り急ぐ場面もありましたが、目先筋の買い戻しや持高調整の買いもあり、底堅い展開となりました。

 米国株が大幅高となったことや為替も円安となったことで、堅調な展開が期待されます。欧州金融不安が薄れたことで、米国では好調な決算に反応する動きとなっており、日本市場でも改めて好決算銘柄などを見直す動きとなって来るものと思います。ハイテク銘柄など輸出株が為替の影響で決算が上振れとなるものが多くなっており、好決算を発表しながらも出尽くし感や持高調整の売りに押された銘柄などが物色されるのではないかと思います。持高調整の売りをどこまでこなせるかといったところですが、業績面で買える銘柄も多く、底堅い堅調な展開が期待されます。

 米国株高もあり戻りを試す展開となるものと思いますが、とりあえずは10500円〜600円水準までの戻りとなるものと思います。明日のオプションSQ(特別清算指数)算出に絡む思惑で想定外の動きになる可能性もありますが、引き続き10100円台半ばから10200円台半ばを下値に、10500円〜600円を上値とした動きとなりそうです。10500円〜600円での底堅さを確認してから10800円〜900円といった次の節目を目指すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇4月マネーストック

◇3月経常収支

◇4月景気ウォッチャー調査

◇4月工作機械受注

◇4月米財政収支

◇米新規失業保険申請件数

◇3月期決算:ガス開発(1661)、大成建設(1801)、大林組(1802)、清水建設(1803)、鹿島(1812)日清食品(2897)、ゼオン(4205)、小野薬(4528)、コニカミノルタ(4902)、DOWA(5714)、アマダ(6113)、千代建(6366)、ソニー(6758)、太陽誘電(6976)、NOK(7240)、リンテック(7966)

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