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» 2010年05月13日 01時30分 UPDATE

富士通のコーポレートガバナンスを正したい――野副州旦元社長が語る、社長辞任騒動 (1/5)

富士通元社長の野副州旦氏は5月12日、昨年9月の突然の辞任をめぐる一連の騒動について東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を開いて説明した。会見で野副氏は「富士通にはコーポレートガバナンスが欠如している」と指摘。問題となったファンドに対する認識や富士通の体質、外部取締役のあり方などについても語った。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 富士通元社長の野副州旦(のぞえ・くにあき)氏は5月12日、昨年9月の突然の辞任をめぐる一連の騒動について東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を開いて説明した。

 富士通は昨年9月25日、病気療養を理由に野副氏の社長辞任を発表していたが、一部報道を受けて2010年3月6日に辞任理由を「取引などの関係を持つことはふさわしくない企業と関係を続けたため」と訂正。野副氏を相談役から解任した。しかし、野副氏は「虚偽の理由で辞任させられた」と記者会見やブログ「野副州旦の言い分」などを通じて主張している。

 会見で野副氏は「富士通にはコーポレートガバナンス(企業統治)が欠如している」と指摘。6月の株主総会までに外部調査委員会を設立して事件の全容を解明するため、裁判所に代表取締役としての地位保全を求める仮処分申請を提出すると発表した。会見後に行われた質疑応答では弁護士の玄君先氏、小澤幹人氏とともに、問題となったファンドに対する認識や富士通の体質、外部取締役のあり方などについての質問に回答した。その内容を詳細にお伝えする。

ah_nozoe1.jpg 富士通元社長の野副州旦氏

富士通にはコーポレートガバナンスが欠如している

野副 元富士通の野副です。私の今日の目的は、日本を代表する企業である富士通のコーポレートガバナンスが大きく欠如していると同時に、コンプライアンス(法令遵守)意識が希薄であるということ、さらにステークホルダー(利害関係者)や富士通社員に対する説明責任を放棄しているという大きな問題を抱えているということについて、みなさまにメッセージをお伝えするということです。

 最初に私が辞任に至った経緯をご説明したいと思います。2009年9月25日、9時から取締役会が開かれる予定だったのですが、私は8時30分に特定のメンバーに呼ばれました。メンバーは6人いて、大浦溥社外取締役、前会長の秋草直之取締役相談役、それから間塚道義代表取締役会長、山本卓眞顧問、安井三也法務本部長、山室惠社外監査役で、特に山室社外監査役は著名な元刑事裁判官の方です。

 まず、この山室社外監査役から尋問が始まるという形でこの会議が始まりました。この時の話を結論から申し上げると、この監査役と社外取締役たちは、私と付き合いがあった人物の後ろにファンドがあって、そのファンドが反社会的勢力とのつながりがあると断定しました。そして、「このことが明るみに出ると、富士通が上場廃止になる。金融機関がお金を引き上げて、その結果、倒産するリスクさえある」と指摘しました。具体的な指摘の一例として、「警視庁の情報では、このファンドは●●組(具体的な組織名)と関係している」と言われました。

 「こういった不祥事で社長が辞任したということは公表しない」「あくまで辞任の理由は病気とする」、そして「この話を偽装と思われないようにしばらく入院してもらいたい」「今後、相談役として10年間で約2億7000万円の支払いを行う」「このことはすでに取締役会の総意であり、取締役会で承認された中身なので、もし辞任を受け入れることができなければ、その後、予定されている取締役会で解任される」という内容でした。

 その時に私は、「そんなに大変な社会的リスクが潜んでいるとすれば、なぜ9月25日になるまで教えてもらえなかったのか」と思いました。しかし、会社の先輩たちがそういった作り話をしているとはまったく思わず、結局、「私だけが知らないことだったのか。会社のために自分は辞任するしかない」とパニック状態で辞任を受け入れました。つまり、私は当時はこの話をまったく疑うことなく、「知らなかったとはいえ、反社会的勢力にかかわる方と関係を持ったのだからこれは仕方がない」ということで辞任を受け入れたわけです。

 同じ時刻に別の部屋では、社内重役の伊東千秋副会長、広西光一副社長、富田達夫副社長、小倉正道常勤監査役、梅村良常勤監査役が、「今、野副に反社会的勢力と関係があったことを理由に辞任を迫っている」と初めてその場で知らされていたということが後で分かりました。

 さらに別室では社外役員の方々、3人の社外取締役と1人の非常勤監査役が待機されていて、この方々には首謀者の人間がおそらく1〜2週間前に個別に「私(野副)が反社会的勢力との付き合いがある」という虚偽の説明をしていたということも後で分かりました。従って、彼らは取締役会が始まるのをその部屋で待っていたということです。

 それで、取締役会が約40分くらい遅れて始まり、私の辞任届けが提出され、承認されました。そして、私は「反社会的勢力から狙われている」「生命の危険がある」と言われ、会社側が用意したホテルにそのまま軟禁されるということになりました。

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