125ccの原付バイクで行こう!筆者の経験上、“普通二輪は小型に限る”(2/2 ページ)

» 2010年05月24日 08時00分 公開
[加藤宗肖,Business Media 誠]
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入門者に原付二種をオススメする理由

 筆者のベスパも含まれるが、排気量50cc超125cc以下のバイクは普通自動二輪車のなかでも、小型自動二輪車あるいは原付二種(第二種原動機付自転車)と呼ばれる。原付に比べると、2人乗りができる以外でもメリットが非常に多い。

 以下に簡単に原付一種(50cc未満)と原付二種(排気量50cc超125cc以下)のメリット/デメリットをまとめた。

原付一種と原付二種のメリット/デメリット
原付一種(50cc未満) 原付二種(排気量50cc超125cc以下)



車種ラインアップが豊富
免許取得ハードルが低い
車両価格、維持費が安い
燃費がよい
駐車スペースを確保しやすい
交通法規は自動車などの一般車両と同じ
車検がない
2人乗り可能(免許取得後1年経過)
保険料は原付と同じ
自転車置き場に駐車できることがある




時速30キロ制限
二段階右折あり
高速道路、一部有料道路、そのほか原付の走行が禁止された道路では走行不可
2人乗り不可
走行レーンは左端を走る
エンジンパワーが小さい
車種ラインアップが原付よりも少ない
高速道路、一部有料道路、そのほか原付の走行が禁止された道路では走行不可
免許取得に実技試験がある

 ご覧のように近所を走るだけの足として原付一種は非常に手軽な乗り物だ。しかし、筆者のように、ひとたび遠出をしようとすると、デメリットが際立つ。だからこそ、筆者は、バイクの入門者に原付二種をオススメするのだ。

 改めて原付二種について説明しよう。排気量50cc超400cc以下のバイクは、普通自動二輪車という。そのなかでも排気量125cc以下のバイクは原付二種と呼ばれる。必要な免許は「小型限定普通二輪免許」だ。原付二種は、ナンバープレートの色でも判別できる。ピンクが125cc以下、イエローは90cc以下だ。ちなみに、電動スクーターの場合、出力0.6キロワット以下が原付一種、1.0キロワット以下が原付二種となる。

オススメの理由その1:パワフルなエンジン

 筆者が初めてベスパに乗ったときに、原付一種とは比べ物にならない程パワフルなエンジンに驚いた。原付二種はコンパクトな車体ながら、思った以上にエンジンパワーがあるのだ。幹線道路の流れにスムーズに乗れるので、もはや周囲からのいわれのない恐怖を感じることもない。

 車両バリエーションは、国産車ではスクータータイプが多いが、輸入車を含めればレーサーレプリカタイプやビッグスクーター、モトクロッサーまで多彩だ。

Aprilia「RS 125」(左)、カワサキ「D-TRACKER 125」(右)

オススメの理由その2:原付のような交通ルール上の制約がない

 繰り返しになるが、原付一種はさまざまな交通法規上の制約がある。ところが、原付二種は、ほかの一般車両と同じだ(二段階右折や走行レーンの制約がない)。免許取得後1年が経過すれば、通常の自動二輪車と同様に2人乗りができることも原付二種の大きな特徴として挙げられるだろう。

 2人乗りについては、一見、地味な要素に見えるが、急に誰かを送る必要に迫られた際や、二人で出掛ける際には非常に重宝する。もちろん、2人乗りを想定した設計なので、荷物の積載スペースも原付一種とは比べ物にならない。

 なお、小型限定普通二輪免許の取得は、普通自動車免許を持っていれば自動車学校で7日前後(技能教習10時間)、AT限定免許ならば5日程度(技能教習8時間)で取得できる。もちろん、普通自動二輪免許を取得すれば、小型自動二輪車も運転可能だ。

ヤマハ「MAJESTY125 FI」

 ところで、「原付二種の免許は“原付二種免許”ではなく、“小型限定普通二輪免許”なのか」と疑問に思った方もいるだろう。すばらしい質問だと思う。

 道路交通法上、51〜125ccのバイクは「小型自動二輪車」と呼ばれている。免許の区分は道路交通法がベースなので、小型限定普通二輪免許となる。だからこそ、原付二種は一般車両と同じように走れるのだ。

オススメの理由その3:原付一種と同様、維持費が安い

 維持費面の安さについても触れないわけにはいかない。加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(通称「自賠責」、6960円/年、2010年5月現在)や任意保険料(21歳以上であれば2万円/年程度)は原付一種と同額だ。なぜならば、保険料の算出は道路運送車両法を基にしているため、原付二種も“原付”とみなされるからだ。実にややこしい。

 ちなみに、軽自動車税は90cc以下が1200円/年、125cc以下は1600円/年(自治体ごとに税額を最大1.5倍まで引き上げられるため税額が異なる場合がある)だ。

 さらにもう1つ、原付二種には車検がないことも忘れてはいけない。ほかの一般車両と比べて、維持費が低く抑えられるということが、原付二種がサラリーマンに愛され、通勤快速とまで呼ばれるゆえんなのだ。貧乏学生であった筆者も維持費の安さには助けられ、愛車は“通学快速”であった。

 このように原付二種は、世間一般にバイクの入門車として挙げられる原付一種に比べて、免許取得に日数と費用が掛かること以外、ほぼすべての面で軍配が上がる。また、2005年のAT限定二輪免許制度開始により、以前より免許が取得しやすくなっている。

 それに呼応するかのように、イタリアのGILERA(ジレラ)やaprilia(アプリリア)などのヨーロッパ車も多く国内に入ってきた。国産車もホンダ「カブ90」や「PCX」、ヤマハ「シグナスX SR」などが次々と投入されている。もちろん、ベスパも健在だ。

 筆者はこの原稿が校了した後、バイクに乗って出かけようと思う。あいにくと後ろに乗せる相手がいないのだが……。

GILERA「Runner ST125」(左)、ヤマハ「シグナスX SR」(右)
DERBI「Terra 125」(左)、ホンダ「エイプ100 Type D」(右)
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