買い先行で始まるも引き続き持高調整の売りも多く冴えない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月12日 17時09分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は上値の重い展開となったのですが、日本市場は昨日の大幅下落の反動もあって買い先行となりました。円高が一服となったことや好決算を発表する銘柄への見直し買いもあり、また、持高調整の売り買いが出ている中で値頃感からの買戻しもあり堅調となりました。後場に入って先物へのまとまった売りに押されて軟調となり、米金融当局の金融機関に対する金融派生商品(デリバティブ)取引に関する話題でると、売り急ぐ向きもあり、下げ幅を拡大する場面もありました。

 米国市場の上値の重さ、下落は「ギリシャ問題」が要因とされ、日本市場が後場に入って軟調となる場面でも「中国株が安いから」などと言う理由が示されていましたが、日米共に、ファンドなどの手仕舞い売りが大きな要因ではないかと思います。欧州での金融不安や米国での金融規制強化、中国の金融引き締め、と金利上昇要因やリスク増大要因が多く、リスク許容度が大きく低下したことでの持高調整だと思われます。

 ちょうど今年の1月から2月の下落時も経済指標の好転、好調な決算が発表されるなかで、米金融規制強化、日本の金融緩和の出尽くし感からリスク許容度が低下したことで売られ、持高調整の売り買いが一段落した後は再び業績回復を織り込むように上昇となったのです。今回も同じように景気動向や業績懸念から売られたわけでもなく、あくまでも目先の需給要因が大きな下げの理由であり、需給さえ改善すれば、目先筋だけでない買い手が現れるような展開になれば、大きな上昇となって来るものと思います。

 中国の金融引き締めも「バブル退治」が主な目的であり、経済の減速傾向が見られると、また経済の活性化策を講じることになると思われます。ギリシャ問題もサブプライム時と違い、次の展開が見えていることから、徐々に落ち着いて来るものと思われ、世界的な景気回復、経済の拡大はまだ続くと見ても良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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