欧州の金融不安や中国の金融引き締め懸念を受けて上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年05月12日 08時37分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10748.26▼36.88

<NASDAQ>2375.31△0.64

<為替:NY終値>92.62-92.68

欧州の金融不安や中国の金融引き締め懸念を受けて上値の重い展開

 欧州の金融不安は一段落したとは言え、懸念は拭い切れず、中国での金融引き締めを懸念して売り先行となりました。前日に「誤発注問題」の処理なども含めて大幅高となったことで、目先筋の利益確定売りや見切売りも嵩んだものと思います。国債入札が順調で切り返す場面もあったのですが、信用収縮、ファンド筋の手仕舞いの動きは続いているようで、原油先物が下落したこともあり、軟調となりました。

 朝方発表された卸売売上高が2009年11月以来最大の伸び率となったようにここのところ発表されている経済指標は好調なものが多く、景気回復、業績回復は鮮明になっています。投機的な資金の引き上げ(ファンド筋の持高調整)や欧州金融不安などから、信用収縮懸念は拭い切れず、また金融規制強化や「出口戦略」が取り沙汰されて強気になり切れないということなのでしょう。それでも、「誤発注問題」などの処理が終わり、持高調整が一段落すれば、好業績を織り込むように堅調となって来るものと思います。

 個別には金先物価格が大きく上昇、最高値更新となったことから、ニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドといった金鉱株が大幅高、原油先物が安く、エクソン・モービルやシェブロンなど石油株は売られました。前日の大幅高の反動で安いものが多く、信用収縮で商品市況が冴えないことから、アルコアが大幅安となるなど素材株が安く、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースといった銀行株など金融株も軟調なものが多くなりました。インテルは投資家向け説明会で、今後数年間についての楽観的な見通しを示したのですが、軟調となり、グーグルなども売られました。それでもアップルやIBMなど足元の業績好調な銘柄は堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国市場が大幅高となったことから買い先行で始まったものの、持高調整の売りに押されて上値が重く、上値の重さを嫌気する売りなどから軟調となり、為替が円高に振れたことや中国の金融引き締め懸念などから見切売りも嵩んで大幅下落となりました。ギリシャ問題は一段落となったのですが、まだまだ疑心暗鬼であり、好決算にも反応が鈍く大きな下げとなりました。

 米国市場は方向感のない展開となりましたが、日本市場も目先の需給に振らされる格好で下値固めとなりそうです。為替が円高に振れたことから好業績を発表しながらも輸出関連銘柄などはいったん手仕舞い売りに押されるものもあるのでしょうが、昨日の下落で円高分を先取りしたように、底堅い堅調な展開となりそうです。先に決算を発表して出尽くし感などから好業績にも手仕舞い売りに押された銘柄などへの買戻しや値頃感からの買いが見られるのではないかと思います。米国市場で金先物価格が最高値となったことで、非鉄株などが幕間つなぎ的に買われるかもしれません。

 為替が再び円高となったことで、上値が重くなりそうです。10500円〜600円水準を抜けて来るには、欧州金融不安、米国金融規制強化懸念、中国の引き締め懸念などが払拭されるか、持高調整の売りが一巡となる必要がありそうです。持高調整の売りが続くようであれば、10100円台半ばから200円台半ばの節目水準での底堅さを確認するような場面も見られるのかもしれません。円高一服となれば、好決算発表銘柄を買い直す動きから10500円〜600円の節目を抜けて来るものと思います。

本日の注目点

◇4月外貨準備高

◇3月景気動向指数(内閣府)

◇3月の米貿易収支

◇3月期決算:国際帝石(1605)、コムシスHD(1721)、大和ハウス(1925)、大明(1943)、日清紡HD(3105)、三菱レ(3404)、デサント(8114)

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