米国株高や好決算に反応せず、目先の需給に振らされて懸念材料に敏感に反応し大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月12日 07時39分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が大幅高となったことから買い先行となったのですが、昨日の大幅高でギリシャ問題の一段落は織り込まれていたこと、米国市場の上昇も「誤発注問題」での買い戻しで押し上げた面が強いこと、また、中国で引き締め懸念が強まったことや米国での金融規制強化を嫌気するようにファンドなどの持高調整の売りが続いていることなどから上値の重い展開となり、上値の重さを嫌気するように売りが嵩み、ファンドの持高調整の影響もあって為替が円高に振れ、円高を嫌気する動きも手伝って大きな下げとなりました。

 銀行株の増資の話題から売りが嵩んだ面もあるかもしれませんが、基本的には持高調整、手仕舞いの売り買いが中心で目先筋の売りが売り方には拍車をかけたということなのでしょう。決算発表も続々と行なわれていますが、相変らず慎重な見通しを示す企業が多く、慎重な見通しに対しては敏感に反応しているようですが、為替が大きく円高に振れるとか、中国やインドなど新興国の経済が大きく落ち込むようなことが無い限り、上振れの期待があると見てもいいのではないかと思います。

 もう少ししっかりとした相場かと思いましたが、1月から2月にかけての下落時と同じように、持高調整の売りに目先筋の売りなども加わり、いったん見切られると思った以上の下落となるようです。好決算を発表しながらも大きく売られている銘柄が見られ、同じ業種内で特に材料が出ているわけでもないのに高安まちまちとなるなど、目先の需給要因で振らされている面が強いと思います。もちろん、欧州金融不安、米国の金融規制=出口戦略懸念、中国の金融引き締め懸念と「懸念」される材料ばかりですが、直接的に企業業績の足を引っ張るわけでもなく、ギリシャ問題と同様に「騒ぎすぎ」と言う面もありそうです。

 1日の中でもそうですが、相場が下落基調になると予想以上に売られることが多く、逆に買われるときも予想以上に買われることも多く、指数の振れが動かないときは動かないのですが、動き出すと大きな動きとなることが多いような気がします。米国市場ほどではないにしろ、ちょっと一方向に動きすぎではないかと思います。皆が同じように同じものを見て同じ事をしているということや目先筋ばかりの相場で目先の需給に振らされているということが要因と思われます。やはり、ここも「人の行く裏に道あり花の山」と言うことではないですが、「天邪鬼」になるといいのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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