米国株安や円高を受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月07日 16時22分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅下落となったことや為替も大きく円高に振れたことから連日の大幅安となりました。後場になって為替の落ち着きや好業績が期待される銘柄などに買いが入り、下げ幅縮小となりましたが、主力銘柄を中心に週末の手仕舞い売りも嵩んで軟調となりました。世界的な株安の流れは続いたのですが、為替の落ち着きを見るとリスク回避の持高調整の動きも一段落となった感もあり、最後は買戻しも入ったものと思います。

 日銀が迅速に追加の金融緩和で対応したこともあり、為替から落ち着きを示し、昨日の大幅下落の続きからの売り一巡感もあって底堅さも見られました。円高が業績に与える影響や今後の欧州金融不安の広がりなどは懸念されるものの、米国でのパニック的な売りの連鎖はどうやら止まったと見てもいいのではないかと思います。後は業績回復をどこまで、どのようにして織り込んでいくかと言うことが問題となって来るのでしょう。

 何でも相場下落の要因が「ギリシャ問題」と言うことにされそうですが、ここまでギリシャの問題も長引くと買わない理由にはなるのでしょうが、売る理由にはならないような気がします。昨日の米国の大幅下落もギリシャ問題が要因とする向きもいますが、直接的な下落の要因は「誤発注」とされています。実際に誤った取引が行なわれたのかどうか、今のところはっきりとわかりませんが、ナスダックは一部の取引を取り消すと発表するなど、今後も混乱は尾を引きそうです。

 実際にキャンセルするとなると、ニューヨーク証券取引所はどうする、為替は?、債券は?とますます混乱してしまいそうです。ただ、一つはっきりしているのは「危険回避」の一つの方策と考えられた、「損切り=ロスカット」が売りを呼び、指数や株価の下落を促してますますリスクが増大するというような事態に陥っているということです。皆が同じような行動を取ることが多く、売るにしても買うにしても、そして「危険回避」すら行き過ぎることになってしまうのです。こうした時にこそ、目先の下落が大きな下落の始まりなのか、トレンドに変化はなく「押し目」なのか、しっかりと見極めたいと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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