1日200人が見学、日本食研製造の“宮殿”工場に行ってきた郷好文の“うふふ”マーケティング(2/4 ページ)

» 2010年05月06日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

宮殿と工場の合奏

 いよいよ宮殿へ。ホルンを吹くバンコがお出迎えだ。その記念撮影スポットの横では、工場の管理部署が仕事をしている。どこかシュールな結合である。


 「4階へどうぞ」 広報の赤嶺直哉さんにうながされ、粉体調味料の製品ラインへ。

 同社の3本柱は、唐揚げ粉などの「粉体調味料」、焼肉のたれなどの「液体調味料」、そして「ハムソーセージ」。宮殿には粉と液の工場がある。5階まで原材料を上げ、そこから生産ラインが4階、2階へと垂直に展開する。20キロの粉袋を次々にドドドと混合させるダイナミックさ。かき混ぜるスクリューもどでかかった。

 液体調味料ラインも興味深い。“秘伝のたれ”の調合内容は極秘で、奥の密室で混合され80度まで加熱殺菌。抜き打ちでサンプル品の味覚を“官能検査”でチェック。ボトル詰めでも不具合がないか、常に担当が見回る。


 印象的なのは人手と自動化の統合性。調合や検査は人手をかける。ボトル詰め以降は冷却→箱詰め→無人搬送車、そして巨大な立体自動倉庫保管、出荷まで完全自動化。トレーサビリティを貫徹させるため、人手を完全排除する。華やかな宮殿のウラには地道な製造作業がある。中と外のギャップもまたでっかい。

 「ここまで見せていいんですか?」、心配になって聞いた。

 「工場内部を公開することで、見に来ていただいたお客さまに安心して食べていただくことができ、社員もお客さまに見られていることで、より高い意識を持つようになりました。見学に来てくださったみなさんは外観と内観のギャップに驚かれます」とホールセール事業部の大西博之さん。

 社長の主張が勝ち、見せることで日本食研のファンが増え、見られることで製造ラインもピリっとするようになった。営業担当も「宮殿で働いてます」と取引先に言える。1日平均200人が訪れる名所が完成した。さて次は“たれのブレンド体験”へ。

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