なぜ30代前半になると、“ゆきづまって”くるのだろうか吉田典史の時事日想(2/4 ページ)

» 2010年04月30日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

意固地になっている人たち

 そこで経営コンサルティングを手掛ける、株式会社シャイニングの下田令雄成(しもだ・れおな)社長に「30代前半になると、なぜこのようなパターンに分かれるのか」と尋ねてみた。下田氏は、それまでの経験に必要以上にしがみつき、新たな経験を受け入れることなく、成長が止まる人を「思考停止状態に陥っている」ととらえる。そしてその理由には、上司などとの関係もあるのではないかと述べた。

 「彼らも20代前半のころは、前向きだったと思います。しかし、この10年間に新しいことを提案しても、上司などに受け入れてもらえなかった経験が何度かあったのではないでしょうか。それらが積み重なり、何をやってもムダという思考になる。こうなると、変化を受け入れるために思考を働かせることが苦痛になるのです。だから、自分が提案を受けてもNOと言い始める」

 そして、この思考停止状態に陥ると「過去の成功は自分の力だけで成し遂げたと思い込む」可能性が高くなるという。

 「このような人は社内で認められていないので、せめて10年間の実績にしがみつき、自らをなんとか奮い立たせようとしているのではないでしょうか」

 私の解釈で端的にいえば、こういう人はきっと意固地になっているのだろう。

可能性を否定され続けると、思考は停止する

 下田氏の話を聞いていくうちに、私の30代前半〜半ばのころを思い起こした。そのころ、異様な仕切り屋の上司(40代後半・部長)に仕えていた。こちらが何かを提案すると、「それはやらなくてはいい」「これはしてはいけない」という返事が返ってくる。彼は、あらゆることを却下した。私だけではなく、ほかの部下の案も同じような理由でほとんど否定していた。

 こういう日々が続き、私はしだいにやる気を失った。会社に行くのも苦痛で、上司の心はおよそまともではないと思えた。そして、私は冒頭で述べた編集者のように「NO」を連発するようになった。素直に認めたくないところだが、意固地になっていたのかもしれない。

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