欧米での信用収縮=リスク許容度の低下を受けて連休前に持高調整の売り買いが嵩み大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年04月28日 16時02分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 欧米の株が大幅下落となり、世界的に信用収縮懸念が強まったことに加え、昨日まで大きく戻っていたことから、売り先行となりました。売り気配から始まるものが多く、大型連休を控えて買い気に乏しい展開の中で、寄り付きの売りが一巡した後も持高調整の売り買いが続き下値を試すような動きとなりました。ただ、節目と見られる10800円〜900円水準での底堅さを確認すると目先筋の買戻しもあって底堅さも見られました。

 企業業績は回復が見られるのですが株価は目先的な需給に振り回されているようです。何度もこのコラムで述べていますが、欧米の下落や昨日の日本株の上昇の要因の本質をしっかりと把握しておく必要があると思います。昨日、一昨日の日本株の上昇も上昇している銘柄を見ると好決算に反応したということばかりではないことがわかります。ですから、好業績を発表して買われている銘柄よりも上方修正しながら売られているような銘柄の方に魅力を感じなくてはならないということなのです。

 本日のような相場でも、大きな下落の要因はリスク許容度の低下によって、銘柄の如何を問わず、業績面などは考慮せずに(厳密には考慮するのですが)「株式を手放す」と言うことで売られている銘柄も多いと思われます。また、「株式の持ち高を無くす、減らす」ことを目的とするような持高調整の売り買い、つまり、買っているものは売って、売っているものは買い戻すような動きも多いものと思われます。

 いずれにしても業績が思ったほど回復していないから売るということでもなく、将来にも期待できないから手放す、と言うことでもないと思います。米FOMC(公開市場委員会)、日銀の金融政策決定会合などが終わり、金融当局の資金を絞る動きではなく、必要とあれば資金を投入する態度が確認されれば、リスク許容度も高まり、また持高調整の買いが入る可能性も大きいのではないかと思います。いずれにしてもここでは目先の需給に右往左往することなく、大きな流れを見て、ゆっくりと業績の回復度合いなどを考える方が良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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