米国は底堅く堅調だが週末の手仕舞い売りや持高調整の売り買いが中心で小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年04月23日 16時21分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末ということもあり、手仕舞いの売り買い、持高調整の売り買いが主体で方向感のない展開となりました。週末にG20を控えていることや欧州金融不安、米国での金融規制強化懸念、中国での金融引き締め、人民元切り上げ懸念など「懸念」や「不安」には事欠かず、足元の業績上振れへの反応も限定的となり、目先の需給ばかりを気にすることになってしまうのでしょう。景気回復、業績回復を織り込む相場となるには決算発表が出揃ってから、あるいは世界的な「懸念」や「不安」が払拭される必要があるということなのかもしれません。

 欧州ではギリシャ問題での金融不安があり、米国では金融規制強化懸念があり、中国では金融引き締め懸念などがあるのですが、どれも「バブル」の影響や「バブル」を排除しようという動きに他ならないと思います。欧州での金融不安はいわば「サブプライムバブル」、元を正すと新興国、特に中国やインドでの経済の拡大から商品バブルが発生し、欧州への資金流入で金融が大きく「緩和」したことの後遺症によるものです。ですから、もう一度欧州市場に資金が大きく流入するようになれば解決するということなのでしょう。

 米国の金融規制強化の動きは中間選挙の年ということでの「選挙対策」の意味合いが強いと思いますが。「新興国バブルの申し子」である「サブプライムバブル」を防ごうと言う「予防」の意味合いが強いと思います。ただ、どれだけ規制を強化しても法律に違反しないように「金儲けの手段」を考えることが、投資銀行の仕事であり、いくら規制を強化してもいたちごっことなる可能性もあり、バブルのたびに退場する人が出るということが今後も繰り返されるものと思います。

 また、中国の金融引き締めも「インフレを抑制する」「経済拡大のスピード減速」と言う意味ではなく、「土地バブル」「株式バブル」を潰す、排除するための「引き締め」であり、企業業績などへの影響は限定され、引き締めで減速するようなことがあれば、まだバブル的な緩和となるものと思います。つまり、いずれにしても、これまでとそしてこれからも基本的な金融政策は世界的に変わりようがなく、上に行きすぎれば戻り、下に行きすぎれば戻るといったことに繰り返しと言うことなのでしょう。そして株価も下がれば上がるし、上がれば下がる、と言うことなのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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