米国株は底堅さが見られたのだが、金融規制強化懸念もあって大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年04月22日 16時02分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 特に売り材料がなかったのですが、金融不安や金融規制などを懸念して手仕舞い売りが嵩み、寄付きから大幅下落となりました。為替も特に対ユーロで円高に振れたことを嫌気して売り急ぐ要因となったものと思います。一昨日は米国株高にも関わらず上値が重く、昨日は予想外の大幅高、そして今日も予想外の大幅下落とと目先の需給要因、持高調整の売り買いで指数が振り回されている感じです。先物が上下の動きに拍車をかける場面もあったのですが、どちらかと言うと先物が追随しているような感じでした。

 決算発表の本格化を前に業績動向に敏感に反応するものも見られるのですが、目先の需給要因に振らされるケースが多く、好業績に反応する銘柄があっても同業の銘柄に波及しないというようなケースが多いようです。中国市場が云々とか為替がどうの、と解説するものも見られますが、一部の持高調整の動きに振り回されているような気がします。3月から4月初めまでの上昇局面でも買い手がはっきりと見られず、新たな市場参加者が増えているような気はしません。

 欧米でも新興国でも、景気回復が期待されるなかで、危機的な金融緩和の巻き戻しを図っているのではないかと思います。大きな逆流を無理やり止め、押し戻したのは良いのですが、ここで手を離して良いものか、手を離さないとまた「バブル」になってしまうのではないか、と疑心暗鬼で政策の手詰まり感も出ているのではないかと思います。ただ、はっきりとしているのは「実需」の部分では十分に「普通の」状態になっているのではないかと思います。

 日本では特にそうですが、個人消費に未だ回復が見られず、まだまだ逆流を押し戻さなければならないというような雰囲気ですが、足元の状況をよくよく見てみると、この天候不順の中で百貨店売上にも底堅さが見られるように、少し割高でも「良い物」が売れるようになってきているように、薄型テレビなどでも価格だけではなく付加価値を求めるようになってきていることでもわかるように、まだまだと思っているうちに、流れは変化しているのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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