パーク24のカーシェアリング「タイムズプラス」は、他社とどこが違うのか神尾寿の時事日想・特別編(2/3 ページ)

» 2010年04月21日 14時01分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

タイムズプラスが「基本料実質無料」を実現できた理由

 「多くの人にカーシェアリングへの興味を持っていただけるようになりましたが、サービスをご利用していただく上でのハードルになっていたのが毎月の基本料金でした。これを何とかしたかった」

 パーク24でカーシェアリング事業を総括する事業企画本部 モビリティ戦略企画室長の内津基治氏はそう話す。

 前述のとおり、カーシェアリングのサービスの仕組みは「会員制」。レンタカーのように利用のたびに申し込みをするのではなく、無人の貸出ステーションからセルフサービスでクルマが借りられる※代わりに、事前の会員登録と毎月の基本料が必要になる。ユーザーは、この基本料にプラスして、15〜30分単位で利用した時間分の料金を支払うのだ。これまでのカーシェアリングでは、基本料を抑えて利用料が割高な料金プランで月額1000円前後、標準的な料金プランで3000〜4000円程度の基本料がかかるのが一般的だった。しかし、タイムズプラスでは、この基本料にメスを入れた。

※ カーシェアリングで事前にWebサイトやケータイで利用予約を行い、ステーションで非接触IC搭載の会員証かおサイフケータイをかざして利用するのが一般的。

 タイムズプラスの新料金プランでは、基本料を月額1000円に一本化。この基本料に1000円分のサービス利用分が含まれているため、「絶対額を0円にはできませんでしたが、(無料利用分を使い切れば)実質的には基本料無料」(内津氏)になっている。世界的に見ても、大手事業者で基本料実質無料をうたうカーシェアリングサービスは希有であり、タイムズプラスの料金プランは画期的と言えるだろう。一方で、利用料金は従来の標準プラン相当の「国産車:200円/15分」と「プレミアムカー(輸入車):400円/15分」に統一されている。基本料は大幅に値下げされ、利用料は割安なプランに統合されたので、全体的に割安感がグッと増したのだ。

 一般的にカーシェアリングの基本料は、貸出車両を置くステーションの駐車場代など、サービスインフラの固定費をまかなうために使われている。タイムズプラスがそれを“実質無料”にまで引き下げられたのは、同サービスが利用するステーションがすべて自社管理するコインパーキング「タイムズ」の敷地の一部を転用しているからである。他社のカーシェアリング事業では、ステーション用の敷地をわざわざ月極駐車場として借りているため、基本料を引き下げるコスト負担はタイムズプラスより大きい。このようにタイムズプラスの新料金は、コインパーキング事業者が展開するカーシェアリングサービスならではの戦略価格と言える。

ステーションと貸出車両も大幅に増加。利便性向上を狙う

 タイムズプラスが画期的なのは、利用料金だけではない。パーク24では、カーシェアリングサービスを「駐車場の魅力を増す重要な付加価値サービス」と位置づけて、今後、利用エリアの拡大を積極的に行う方針だ。

 具体的には、今年7月までにカーシェアリング車両を300台増車し、10月末までには1000台の運用体制に入る。利用可能なステーションも関東・関西の都市部から増やしていき、「タイムズに行けばカーシェアリングが利用できることを定着させる」(パーク24)という。同社では、2014年10月末までに4000台規模のカーシェアリングを展開する計画である。

 「パーク24のカーシェアリングは、『身近』『お得』『便利』をキーワードに、今後積極的に広げていきます。また、あわせてクルマに乗る楽しさも広めていきたい。現在のカーシェア24でも、国産車だけでなく、アウディやBMW、フィアットといったユニークなプレミアムカーをラインアップしていますが、今後も、そういった楽しいクルマの充実も図っていきます」(内津氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.