リスク許容度の回復で堅調だが決算発表への反応は悲観的で上値も重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年04月21日 08時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11117.06△25.01

<NASDAQ>2500.31△20.20

<為替:NY終値>93.21-93.27

リスク許容度の回復で堅調だが決算発表への反応は悲観的で上値も重い

 欧州での金融不安や火山噴火の混乱が一服となったことや金融規制の問題も広がる懸念も少ないということから、リスク許容度が回復、信用収縮懸念も一服となって商品市況が堅調となりました。金融株や石油株などが堅調で指数を押し上げましたが、決算発表に対しての反応は鈍く悲観的で、業績の回復は見られ、好決算を発表しても出尽くし感や見通しが慎重ということが嫌気されて売られるものなどが見られました。

 業績回復は見られ、信用収縮懸念も一服となったのですが、依然として金融規制強化に対する懸念や欧州での金融不安は拭い切れず、新興国も金融引き締め傾向にあることから、業績相場への移行の際の混乱が起きているような感じです。ただ、決算発表への反応は悲観的であっても、業績回復を織り込む動きには変わりなく、目先筋の利益確定売りなどが一巡すれば買い直されることになるのでしょう。金融規制懸念も金融引き締めの一貫という感じでもあり、投機的な動きを抑制することにはなるのでしょうが、商品市況も株式市場も実需の買いで支えられ、上昇トレンドに変化はないものと思います。

 個別には英金融当局の強制捜査が伝えられたゴールドマンサックスは軟調となりましたが、金融規制強化懸念が一服となったことで、シティグループやJPモルガン・チェースなど金融株は堅調となりました。前日引け後に予想を上回る決算や見通しを発表したIBMは出尽くし感から売られ、決算発表を控えたヤフーも軟調となり、引け後の決算で売上が予想を下回ったことから売られています。原油価格が上昇したことで、エクソン・モービルやシェブロンは堅調となりましたが、金価格も上昇したのですがニューモント・マイニングなど金鉱株は軟調となりました。決算発表への反応は鈍く、収益見通しが慎重とされたジョンソン・エンド・ジョンソンが下落、売上高が予想にとどかなかったコカ・コーラも安くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国ダウ平均が堅調となったことなどから買い先行となったものの上値の重さを確認するような格好で日経平均は軟調となりました。TOPIXはプラス、値上がり銘柄数も多いのですが、過熱感が強いこともあり、調整となっています。外国人も株数ベースでは買い越し、金額ベースでは売り越しとなっており、過熱感が強く、米金融規制や中国の金融引き締め懸念が強い中で上値の重さが確認されると利益確定売りや見切売りを急ぐ展開となるようです。

 米国市場は堅調、為替も円安と言うことで、日本市場は堅調な展開が期待されます。過熱感は依然として強いのですが先週末からの急落で今度は逆に下落スピード、調整のスピードを調整するような格好となるのではないかと思います。円安を好感して輸出関連銘柄なども底堅い堅調な展開が期待され、商品市況が堅調となったことやここのところの売られすぎの反動から商社株なども反発が期待されます。ただ、決算発表の本格化やゴールデンウィーク前の持高調整の動きもあり、持高調整の売りが続くようであれば、ここまで下落したものが一段と下落することになるのでしょう。

 日経平均は11000円の心理的な節目を意識する動きとなりそうです。10800円〜900円水準での底値=押し目を確認したということで、11000円を抜けて11000円を固める動きが期待されますが、持高調整の売りが続くようであれば、逆に11000円水準で上値の重い展開で10800円〜900円水準での底堅さを確認する動きとなるのでしょう。いったんは11000円まで戻れば達成感も出てしまうのでしょうが同時に目先の調整一巡感も強まることになるのでしょう。

本日の注目点

◇4月の主要銀行貸出動向アンケート調査(日銀)

◇3月期決算:JFEHD(5411)

◇1−3月期決算:米モルガンスタンレー、米ボーイング、米AT&T、米スターバックス、伊フィアット、仏PSA

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