過熱感が強いところで金融規制懸念が強まり大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年04月19日 08時33分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11018.66▼125.91

<NASDAQ>2481.26▼34.43

<為替:NY終値>92.16-92.22

過熱感が強いところで金融規制懸念が強まり大幅下落

 米証券取引委員会(SEC)が米金融大手を証券詐欺罪で訴追したことから、金融取引規制が強化されるのではないかとの懸念が高まり、リスクマネーの収縮=信用収縮の動きから大幅下落となりました。過熱感が強まっていたこともあり、利益確定売りも嵩んで下げが大きくなったものと思います。為替もドルやユーロなどが売られ、金融規制が強まるとリスク許容度も低下するのとの思惑から持高調整の売りも嵩んだものと思います。この日発表された住宅着工件数は3カ月意連続で増加、市場予想も上回ったのですが、特に材料視されず、逆に消費者態度指数は前月から低下し予想を下回ったのでが、これもまた特に材料視されることはありませんでした。

 経済指標などへの反応は鈍く、SECの訴追ばかりが取り沙汰されました。ただ、過熱感が強かったところで、予想を下回る経済指標など、悪材料には敏感に反応し易かったことも下げを加速させた要因と思われます。大きな下落となりはしましたが、まだ過熱感を冷ますということでもなく、まだこの段階では「上昇トレンドからの転換=長期下落トレンドの始まり」と見るよりは「上昇トレンドの中での押し目を確認する段階」と見てもいいものと思います。

 個別にはSECからの訴追を受けたゴールドマンサックス(GS)が大幅安、連れてシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、アメリカン・エキスプレスなど金融株が軒並み大幅下落、アルコアなどの素材株、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングなど金鉱株も軟調、好決算を発表したグーグルは大幅下落、連れてヤフーも大幅下落となりました。キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄も軟調、プロクター・アンド・ギャンブルは軟調ながらも底堅く、コカ・コーラはディフェンシブ銘柄として買われ、堅調となりました。ウォルマートも小幅安にとどまりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株高などにも関わらず、大幅下落となりました。米国市場の引け後の時間外取引でのハイテク銘柄安や中国の人民元切り上げや金融引き締め懸念、欧州の金融不安に加え、過熱感が強いところでの週末ということで、持高調整の売りや手仕舞い売りが嵩んだものと思います。業績回復を一旦、織り込んで上値を試し、上値の重さが気になって売り急いだ面もあるものと思います。

 週末の米国市場が金融規制に対する懸念から大幅下落、為替も大きく円高に振れたこともあって、ハイテク銘柄など輸出関連銘柄を中心に軟調な展開となりそうです。米国株安を先んじるかのように週末に軟調となっていたことから、ある程度の水準では底堅さも見られるのでしょうが、寄付きからの売りが一巡した後、下げ渋りが見られたところからどの程度切り返すかで方向感が決まりそうです。戻りの鈍さが嫌気されては売り直されることになるのか、売り一巡感から切り返しも大きくなるのか、が注目されます。円高メリット銘柄や内需株、ディフェンシブ銘柄などが下支えとなるのかも注目されます。

 日経平均はシカゴ市場(CME)の先物やADR(米預託証券)の状況から10900円水準では下げ渋りそうです。心理的な節目である11000円水準で下げ止まるのかどうか、いったん10900円水準での底堅さを確認して11000円まで戻るのかどうかを見たいと思います。11000円水準まで戻らないとなると10800円から900円水準での底値堅め、もみ合いとなるものと思います。11000円を保つかどうかも注目されれますが、10800円〜900円水準で底堅さは示され、再び11300円〜400円の節目を目指すことになるものと思われます。

本日の注目点

◇3月の消費動向調査(内閣府)

◇3月と2009年度の粗鋼生産速報(日本鉄鋼連盟)

◇3月の全国百貨店売上高(日本百貨店協会)

◇3月の米景気先行指数

◇1−3月期決算:米シティグループ、米IBM,蘭フィリップス

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