米国株高にもかかわらず、週末の手仕舞いなどに押されて大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年04月16日 16時05分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株は堅調、為替も対ユーロでは円高となったものの落ち着いていたのですが、売り先行で始まった後も売りが優勢、後場に入って一段と売り直される展開となり、大幅安となりました。日本市場や米国市場の過熱感や中国人民元切り上げの話題や金融引き締め懸念などから戻り切らず、今度は戻りの鈍さを嫌気して売り直されるといった状況でした。週末ということもあり、積極的な買いが手控えられたことや持高調整の動きもあったものとおもわれます。

 中国の金融引き締めや人民元切り上げの話が出ていますが、金融引き締めと言っても経済の拡大自体を冷ますわけではなく、あくまでも「バブル退治」と言うことでしょうし、中国元の切り上げも個々の企業ではメリット・デメリット、綺麗に分かれるところもあるのでしょうが、「日本の企業」と言う意味ではメリット・デメリットが相殺されて影響は軽微となる可能性もありそうです。「アジア通貨買い」と言うことや「ドル売り」となると円高となり、デメリットの方が大きくなってしまうのでしょうが、元に対して円安となれば、日本では輸入物価上昇となり、デフレ脱却への糸口となるかもしれません。

 米国でも決算発表が本格化していますが、目先的な過熱感が強いことから良い決算が続けば続いたで「金融緩和の出口戦略=金利上昇」となり、円安とはなるのでしょうが、米国株が軟調となると日本市場も調整となりそうで、悪ければ悪いで利益確定売りを急ぐ動きとなるのでしょう。本日の日本市場もそういった面があり、米国株の決算発表を受けて、出尽くし感や失望感から、利益確定売りを急ぐ動きもあって下げを加速したものと思われます。

 週末ということで持高調整の売りも多くなっているようです。欧州金融不安から「信用収縮」懸念が高まり、円キャリー取引解消(巻き戻し)の動きも出ていたのかもしれません。アジア市場が安いから、とか円高だから売られたというよりは日本株が売られた、米国株が引け後の決算発表を受けて売られたことでアジア株が安く、信用収縮懸念=円キャリー取引の解消で円高となっているのでしょう。下落の要因が業績悪化などの理由でなく、基本的には買われ過ぎ=割高の調整ということであり、今後の決算発表を控えて、業績上振れが期待される銘柄などは買い場探しとなって来るのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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