景気指標が予想を上回って堅調だが、利益確定売りに押されて上値も重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年04月16日 08時37分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11144.57△21.46

<NASDAQ>2515.69△10.83

<為替:NY終値>93.01-93.07

景気指標が予想を上回って堅調だが、利益確定売りに押されて上値も重い

 懸念材料が多く、売り先行で始まりましたが、ニューヨーク連銀、フィラデルフィア連銀が発表した景気指数が予想を上回ったことから堅調となりました。ただ、目先的な過熱感が強いことや朝方発表された新規失業保険申請件数や鉱工業生産指数が予想より弱かったこと、また、欧州での金融不安も拭いきれていないことに加え、中国での金融引き締め懸念も浮上、主要企業の決算発表を見極めようと言う動きもあり、上値も限定的となりました。

 悪材料に対する反応は比較的鈍く、堅調な地合いが続いているのですが、いったん過熱感や達成感から上値の重さが気になりだすとこれまで見過ごされて来た悪材料を見直すことになるかもしれません。決算発表が本格化する中で予想を上回るような好調な決算が出ているうちはいいのでしょうが、2〜3、芳しくない決算発表などが見られると過熱感からの利益確定売りに加え、悪材料を見直す動きとなって売り急ぐ場面も出てくるのでしょう。基調は景気回復期待から強含みなのでしょうが、逆に好決算が続くと今度は過熱感に加え、「出口戦略」が取り沙汰されることになりそうです。

 個別には前日の引け後に利益見通しを上方修正したUPSが大幅高、連れて同業のフェデックスも堅調となり、中国経済の高成長が続いていることなどもあって目標株価が引き上げられたキャタピラーも高くなりました。一方で利益確定売りに押されるものも多く、インテルやアップルは引き続き堅調でしたがIBMが軟調、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカは堅調ですが、シティグループは軟調となり、景気回復が期待されるなかでアルコアが軟調となりました。引け後に決算を発表したグーグルとAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)は共に堅調な引けとなっており、好調な決算を発表したのですが、予想を下回ったということで、時間外取引では売られています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高などを受けて買い先行で始まり、堅調とはなったものの上値の重い展開となりました。中国の経済指標の発表を気にする向きもあったようですが、特に材料視されず、外国人も買い越しと伝えられた割には持高調整の売りなども見られ上値を押さえる要因となっていたようです。個別の材料にも反応は鈍く、目先の需給要因で動いているということのようです。

 米国株は引き続き堅調となっていますが、為替が円高、特に対ユーロで再び円高となったことや中国での金融引き締め懸念、人民元の切り上げ懸念などから上値の重い展開となりそうです。ただ、景気回復が鮮明になっており、決算発表の本格化を前に好決算が期待されそうな銘柄などは底堅い、堅調な展開となるものも見られるものと思います。米国半導体関連銘柄の決算も好調となっており、日本市場でも半導体など好調な業績が期待される電子部品銘柄の押し目買いに分がありそうです。出遅れ感の強いディフェンシブ銘柄などの水準訂正も期待できるかもしれません。

 日経平均は引き続き11300円から400円水準の上値の重さを確認するような展開となりそうです。過熱感が強い中でも堅調となっているのですが、物色一巡感だが出てくると今度は「買える銘柄」を探すことではなく「買える水準」を探すことになり、指数も節目と見られる11000円水準を試す動きも出てくるものと思います。日本での決算発表が本格化するまでは積極的に買い上がるというようりは持高調整の売り買いが中心で指数の方向感は出難いものと思います。

本日の注目点

◇月例経済報告(内閣府)

◇ジャスダック上場:アゼアス(3161)

◇EU非公式財務省会合(17日まで)

◇3月の米住宅着工件数

◇3月の欧州新車販売台数

◇1−3月期決算:英ソニー・エリクソン、米GE(ゼネラル・エレクトリック)、米バンク・オブ・アメリカ

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