企業のトップに、読者からのさまざまな悩みについて答えてもらうシリーズ「“働く”について聞いてきた」。不況の影響で会社経営に悩んでいる人に、エフエックス・オンライン・ジャパンのジェームズ・ガウ社長はどのようなアドバイスを送ったのだろうか。
大学の友人と会社を起こし、4年が経ちます。これまで何とか経営してきましたが、ここ最近の不況で経営が苦しくなってきました。経営者としてピンチを乗り越える時に必要な考え方や物事の進め方など、体験談やアドバイスがありましたらお願いします。
景気が良くないときには、特に消費者は安いモノや掘り出しモノを見つけようとしがちです。いまの経済環境からすると、Hさんが携わっているオンラインビジネスは有利なのかもしれません。またユニクロを展開するファーストリテイリングなど、景気後退の時期でも成長する企業はありますので、あまり気落ちされる必要はないのではないでしょうか。
とはいえ、Hさんが感じていらっしゃるプレッシャーも十分に理解できます。私自身、エフエックス・オンライン・ジャパンのビジネスが軌道に乗るまでの最初の2年半は、自分の人生の中で一番辛いときでした。そして、そんなときの私を支えてくれたのは、自分が顧客に提供しているモノがマーケットで最高のモノであるという信念でした。
また金銭的な問題もありましたので、広告宣伝に大きな金額を費やすこともできませんでした。そこで、口コミの力を信じていました。実際、この口コミが徐々に功を奏し、会社を大きくさせることができました。
まずはあなたの信念と前向きな考え方を維持してください。その上で、3つのことを心がけてください。1つめは自分自身に残酷なまでに正直になること、2つめはビジネスモデルを定期的に振り返ること、3つめは別のアイデアで立て直しを図れるよう、引き際を知ること。ほとんどの起業家は、成功を手にする前に数多くの失敗を経験しています。もちろん私も、いろいろなことで苦労してきました。なので、Hさんも「いまの苦労はよい経験」と受け止め、仕事に集中してみてはいかがでしょうか。
1965年2月生まれ、英国・エジンバラ出身。ロンドン、香港での勤務を経て、1993年より日本の金融界へ。Cantor Fitzgerald社で日本国債デスクのマネージャーを、ING証券でシニアトレーダーを歴任。2002年12月にエフエックス・オンライン・ジャパン株式会社を設立、CEOに就任。
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