週末の米国株高や欧州での金融不安が薄れ、一時大幅高となるも物色一巡感から上値も重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年04月12日 15時55分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 先週末の米国市場が堅調となったことや欧州での金融不安が薄れたことから買い先行となりました。外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が売り越しと伝えられたこともあり、寄り付きの買いが一巡した後は上値の重い場面もありましたが、持高調整の買いも入っていたようで、一時大幅高となりました。出遅れ感が強い銘柄や売られすぎた銘柄も多く、買戻しや買い直しの動きも断続的に見られ堅調な展開となりました。

 過熱感は依然として強いのですが、目先筋の買い方の回転も効いて堅調な展開が続いています。個別に出遅れ感が強い銘柄やユーロ安を嫌気して売られたような銘柄に買い戻しも交えて買いが入り指数を押し上げたものと思います。業績上振れを発表する銘柄なども散見され、業績回復を織り込むような水準訂正となっているものも多いようです。特にここで買い上がらなければならない理由もなさそうですが、過熱感が強いだけに売り易く、売っては見たものの買い戻しを余儀なくされるような動きとなっているようです。

 買戻しや持高調整の買いも見られましたが、業績回復、景気回復を織り込む動きとなっています。前期業績の上振れを発表する銘柄なども散見され、今期業績に対する期待も根強く、ちょっとした好材料に敏感に反応するする動きとなっているようです。買い方の回転も効いているようで、過熱感が強い割には需給は悪くないようです。ただ、本日はほぼ全面高となったことで、そろそろ循環物色も二順目となると荷もたれ感や過熱感が強まり、上値も重くなり、今度は出遅れ銘柄を物色するわけにもいかず、利益確定売りが一斉に出る可能性もありそうです。

 「野も山も皆一面に強気なら、阿呆になりて売りの種蒔け」とか「千人が千人ながら強気なら、下るべき理を含む米なり」と言われるように、売り急がなければならない理由もなく、出遅れ銘柄や業種も買ってしまうと後を買う人も、買う銘柄も買う材料もなくなってしまうのです。残るものは過熱感ばかりということになり、いったんは調整となる可能性もありそうです。持高調整の売り買いもそろそろ一段落となれば、目先的な需給の悪化だけでも売り要因となりそうです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.