コラム
» 2010年04月12日 07時52分 UPDATE

藤田正美の時事日想:日本は沈むのか それとも浮上するのか――残された時間は少ない (1/2)

ある雑誌は「いまの日本に必要なのは『ビッグバン』だ」と主張する。しかし郵政民営化の見直しなど、逆のことを行っているケースが目立っている。この悪い流れの中から抜け出し、新たな施策を打ち出すことができるのは誰なのだろうか。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 海外新聞や雑誌をフォローしていると、「ジャパン」と題する記事にお目にかかる頻度がめっきり減って、「チャイナ」という言葉が極端に増えてきたという実感がある。それだけではない。たまに「ジャパン」という記事にお目にかかると、ほぼ例外なく悪い話題である。政治の混乱から国の借金、そしてトヨタのリコールの話。読んでいると気が重くなる。

大災厄に向かって歩く夢遊病患者

 英エコノミストの最新号に日本の記事が出ている。題して「Sleepwalking towards disaster」。「大災厄に向かって歩く夢遊病患者」というような感じだろうか。もちろん「夢遊病患者」は日本である。

 記事のポイントは簡単に言えば以下のようなことだ。国が借金を重ねつつ、経済が停滞しているような状態をこれ以上続けることができないのは明白であるという。

 それほどの危機的状況にあるというのに、日本の社会に危機感が感じられないのはなぜなのか。それが僕にもよく分からない。「立ち上がれ日本」という新党(「みんなの党」の渡辺喜美代表は「立ち枯れ」ないように頑張ってくださいなどと揶揄していたが)にしても、財政再建を軸に据えるのはいいとしても、なぜ今、憲法改正あるいは自主憲法制定も綱領として並べなければいけないのかが分からない。それに財政再建と言っても、民主党のばらまき政策を止めるというだけでは足りないはずなのである。団塊世代の大量退職によって、これからは医療や介護費用がどんどん増えてくる。それに対応するための財源はどこにあるのか。まさか給付水準を引き下げるということであれば、団塊世代はますます財布のひもを締めてしまうだろう。そういう状況にどう対処するかの政策論が必要なのである。

日本がメルトダウンした場合に備えている海外投資家

 エコノミスト誌も触れているが、それにしても不思議なのは、これだけの国債を発行しているのに、なぜ国債金利がこれほど低いのかということだ。国内預金によって国債を吸収してきたから、海外投資家の市場感覚が導入されていないというのがエコノミスト誌の解説だ。

 しかし国内での消化はそろそろ限界にある。IMF(国際通貨基金)の報告書によると、日本は2015年には政府などの負債総額が、家計の資産総額を上回るという。そうなったら、海外の投資家に国債を買ってもらわなければならなくなる(今は外国投資家の持ち分はわずか7%)。ゴールドマン・サックスによると、海外の投資家はすでに日本が「メルトダウン」した場合に備えているという。

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