「やりたいことが特にない」人のキャリア選択(1/2 ページ)

» 2010年04月09日 08時00分 公開
[増沢隆太,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた)

RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。


 4月になり、職場だけでなく通勤電車などでも新人と思しき人を見かけます。また、新たな道を考えたりする時期でもあります。特にキャリア選択がそうでしょう。

 就職や転職など、キャリア決定をしなければならない時、「給与条件やポジション以外に、やりがいを見つけろ」とか「やりたいことや夢をあきらめるな」といったアドバイスを見受けます。あるいは「特技や経験、資格を生かして仕事を見つけたい」という前向きな意向もあれば、道を選びやすいでしょう。

 しかし、「特にやりたいことがない」とか「自分が実現したいキャリアゴールがない」「生かせるほどの経験も能力もない」なんていうダメ人間はどうすれば良いのでしょうか。いや、実はそれほどダメ人間でもないと思いますよ。なぜなら「やりたいことは特にない」というのは、かなり広く一般的な悩みだからです。それでは、そんなキャリアの方向性がない、決まらない人はどうすればいいのでしょうか?

 私は「何もしない」が一番かと思います。方向性は決まっているが、その実現のために足りない能力や経験があるというならば、いかようにもキャッチアップの道は見えますよね。そうではなく、探す方向も見つからない、見当たらない、現実的な方向性がないという時に、無理やり決めても恐らくその道は、ご自身にとってはそれほどのめり込めもしない、あまり意欲を持てないものになるでしょう。キャリアの方向やゴールに魅力がないと、その実現に向けた推進力がパワー不足になります。ますます実現から遠ざかるのではないでしょうか。

 では、「何もしない」とはどんなことをすればよいのでしょうか。これは、アクションとしては「何もしない」という意味です。キャリアにおけるアクションは、一度してしまうと取り消しができません。人生はゲームではなくキャリアなのです。ネットの書き込みなどで「3カ月未満の職歴は書かなくてよい」というウソ情報も見かけます。これは「バレなきゃ、犯罪しても分からない」というのと同じで、強引な解釈に過ぎません。しかし「何もしない」なら、取り消しの必要もありません。「分からない時は動かない」は戦術の基本だと言えるでしょう。

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