上司の“朝令暮改”に、キレそうになりませんか吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年04月09日 00時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」


 部下からするととても困るのが、「朝令暮改」を平気でする上司だ。指示や命令がコロコロと変わり、部下をヘトヘトにさせてしまう。ときにはキレそうになることもあるだろう。

 今回の時事日想は、そんな上司への対応について考えてみよう。職場における朝令暮改の正確な定義はないが、ここでは上司の指示がすぐに変わることを取り上げていく。

「朝令暮改」が目立つ中小・ベンチャー企業

 筆者の取材経験から言うと、上司の朝令暮改が目立つのは中小企業やベンチャー企業である。もちろん中堅・大企業にもあるが、大きい会社ほどどこかでブレーキが働くことが多い。例えば、上司の指示がすぐに変わってしまうと、部下がたくさんいるから組織がスムーズに動かなくなる。ほかの部署にも影響が出てくる。その結果、不満を訴える人が多くなるだろう。

 さらに定期的な人事異動があるので、ほかの部署に移った部下が「今までの上司の指示はひどかった」などと話すことがある。多くの管理職は「自分の身を守りたい」という防衛本能を持っているので、こういった問題は避けたいはずだ。つまり中堅・大企業の場合、朝令暮改を行う上司をストップさせる仕組みが多少はあると言える。ところが、中小企業やベンチャー企業にはそれがあまりない。

 社会保険労務士の小山邦彦氏(株式会社名南経営・常務取締役)は、中小企業やベンチャー企業には朝令暮改が多いことを認めながらも、「通常、上司は意味もなく朝令暮改はしない。何らかの理由があるはず」という。「仮に指示がすぐに変わった場合、部下は『何か問題が起きましたか?』などと言い方に気をつけながら、確認するといいと思う」とアドバイスする。

 上司に「朝令暮改はおかしい!」と直接、不満を述べることは好ましくないようだ。さらに小山氏は「そのままにしておくと双方に不満が募るため、お互いにもう一歩踏み込むことが必要」と指摘する。実際、中小企業を訪問すると、経営者と社員双方がコミュニケーション不足で相互不信に陥っているケースは少なくない。

 「こういった企業では、経営者や上司は指示した内容がなぜ変わったのかを社員にキチンと説明していない。社員の側もその理由をきちんと確認していない。双方が不信感を募らせていくことは、会社全体にとってマイナスになる」と話す。

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