故郷の親の体調が心配……どうすればいいでしょうか?ガウ社長に“働く”について聞いてきた

» 2010年04月09日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 企業のトップに、読者からのさまざまな悩みについて答えてもらうシリーズ「“働く”について聞いてきた」。前回まではリーブ21の岡村勝正社長に登場していただいたが(関連記事)、今週からはエフエックス・オンライン・ジャパンのジェームズ・ガウ社長にバトンタッチ。スコットランドで生まれ日本で20年近く住んでいるガウ社長は、“働く”ことについてどのような考えを持っているのだろうか。

30歳男性Tさん、出版社勤務

 地方出身で、都内の出版社に勤務しています。ここ数年で祖父母が亡くなり、両親も年老いていくのが見てとれます。長男として実家に帰ることも考えていますが、地元に同業種の会社がないことと、他の職に就くとしてもこの景況下と私の経歴で新たな職に就くことができるかという不安もあります。どうしたらよいでしょうか?


まずは家族に相談を

エフエックス・オンライン・ジャパンのガウ社長

 今の日本はまさに東京への“一極集中”が進んでいる、といってもいいでしょう。こうした社会で生きている以上、残念ながら、ご質問に対する簡単な回答はないかもしれません。しかし、Tさんはまず自分自身にとって何が大切なのかを明確にする必要があるでしょう。そして、ご自身が選択されたことを実現するために、段取りを決めていかねばなりません。

 ご両親の体調がすぐれないということであれば、ご家族の方と相談してみてはいかがでしょうか。そしてTさんが地元に戻って、何ができるのかなどを話し合い、納得した形で結論を出すことが必要だと思います。

 もし今の仕事が好きで、その仕事自体が将来性のあるものだとしましょう。しかしご両親のケアのために、今の仕事を断念してしまえば、やがてTさんがご両親を“恨めしく思う”ようになるかもしれません。そして、いつかTさん自身も同じように、自分の子どもたちの好意に依存するようになってしまうのではないでしょうか。

 私は日本に18年間滞在していますが、スコットランドにいる親のことをずっと気にしています。私の家族の場合、兄が親の面倒をみてくれていて、ときどき私の方から連絡をしたりしています。母はよくこんなことを言っていました。「親が子どもに与えられることは2つある。1つはルーツ(出自)。2つめは翼」と。2つめの意味は、翼があれば子どもはどこにでも行ける……という意味。母の言葉に甘えるわけではありませんが、自分は祖国を離れ、第二の故郷が日本になっていますね。

 少し話がそれましたが、いずれにせよ、最終的な判断をくだすのはTさん自身です。ですが、まずはご家族の方と相談してください。ご両親に会う機会を増やしたり、有料のケアサービスを利用したり、いろいろな選択肢があると思いますので、1人だけで悩まずにみんなで考えてみてはいかがでしょうか。

プロフィール:ジェームズ・ダラス・ガウ

 1965年2月生まれ、英国・エジンバラ出身。ロンドン、香港での勤務を経て、1993年より日本の金融界へ。Cantor Fitzgerald社で日本国債デスクのマネージャーを、ING証券でシニアトレーダーを歴任。2002年12月にエフエックス・オンライン・ジャパン株式会社を設立、CEOに就任。


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