グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。
※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年4月2日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。
ミルミルは1978年から27年間販売されていたが、2005年に販売を終了。後継商品「ビフィーネM」に引き継がれていた。そのビフィーネMを2月末で販売終了させ、ミルミルを再投入してきたわけだ。
野球好きの方なら、東京ヤクルトスワローズの選手たちが使用しているヘルメットやユニホームに、「ミルミル」と掲出されているのをご覧になったかもしれない。開幕ダッシュに成功したスワローズと歩を合わせるように、ミルミルもすこぶる調子は良いようで、4月2日付日経MJによると、飲料カテゴリーで2週連続に渡って、首位を獲得している。
ミルミルはヤクルトがビフィズス菌を発酵させた世界初の商品として登場した経緯がある。今日ではポピュラーになったビフィズス菌飲料の元祖なのだ。ビフィズス菌をとることは、整腸作用と健康維持に欠かせないといい、さらにそれを生きたまま腸に届けるのがポイントらしい。
さて、この「生きたまま腸に届く」というフレーズ、最近よく耳にしないだろうか。実は最近、都内各所でキッコーマンが「YU株」なる乳酸菌を生きたまま腸に届けるというヨーグルトをサンプリングしている。明治乳業も「特別な乳酸菌」としてLG21で攻勢をかけている。小田和正がCMで「今日もどこかで」を切々と歌う。何だかカラダの調子が良くなる希望が見えてきそうな気がしてくる。ヤクルトはというと、「ヤクルト」もしくは「ヤクルト400」で「シロタ株」なる菌を届けることに注力している。俳優・渡辺謙がCM「腸を鍛える編」で「私は乳酸菌シロタ株で、毎日腸をトレーニングしています」と言って飲んでいる。
しかし、こんな混戦状態では何をとって、腸に何菌を届ければいいのか分からなくなってくるのが正直なところだ。自分の腸は1本しかないのに。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング