米国市場は軟調だが、持高調整の買いを急ぐ動き、先物主導で大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年04月01日 17時11分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 日経平均は大幅高となりましたが、途中まで値下がり銘柄数が値上がり銘柄より、多いという状況で何とも不思議な相場となっていました。上昇している銘柄は値がさ銘柄ばかりということで、指数は押し上げられましたが、先物主導、持高調整の買いが要因であり、特に材料に反応したというよりは目先の需給要因だけで、大幅高となったということなのでしょう。過熱感が強く売りやすい相場だけに踏み上げさせられたということだと思います。

 指数、特に日経平均が大幅高となり上値の節目まで一気に上昇となりましたが、特に理由がないなかで、値がさ銘柄などが軒並み2%以上、大型株の一角は5%以上も値上がりするのはある意味「異常」といえそうです。2005年の「郵政解散」を材料として暴騰した相場の出鼻もそうでしたが、突如として持高調整の売り買いが大量に見られて相場が異常な展開となることがここ何年かの間に何度か見られました。昨年の3月の底値時点でもそうでしたが、相場の転機となることも少なくないようです。

 日銀短観に改善が見られたから高い、とか中国での経済指標が引き続き好調だから、中国株が高いから、などと言う理由も見られるのでしょうが、単に新年度入りで目先筋の売り買いが出やすかったことや、持高調整の買いが入ったことが大幅高の要因ではないかと思います。今日、ここで慌てて買わなければならない理由も特になく、逆に過熱感が強く、空売りが入り易かったことで、仕掛け的な買いに敏感に反応して買い戻しを急いだ面もあると思います。

 コインの表裏を当てるのと同じように直前までの結果が、次の結果に影響しないと同じ様に、本日高いからと言って明日も高いとは限らず、その日その日の需給で相場が決まっているだけと言う感じです。確かに足元の業績回復は期待できるのですが、利益確定売りをこなして、買い急がなければならない理由もなく、「異常値」となる可能性があります。もちろん、今日の株高を見て明日、買い急ぐ向きもいるのでしょうが、「呆れ果てたる値が出れば、それが高下の境なりけり」と言うことなのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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