まさに中毒、うふふ的柿の種ランキング郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)

» 2010年04月01日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]
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顧客ロイヤルティーは“楕円軌道”

 さて私の柿の種巡礼の旅、メーカーではみながわ製菓がトップだが、もちろんみながわ製菓の商品以外も食べている。越後製菓や亀田製菓に浮気し、名もないPB商品と一夜限りの関係を持つ。でも、変遷の末、こりて「ごめんね、やっぱり君しかいないよ」と“みながわラブ”に帰ってくるのだ。マーケティングでいう“ロイヤル顧客”であり、“ブランドロイヤルティー”もあるのに、ずーっとラブしない。私が単なる浮気性だからなのだろうか?

 中毒には循環がある。まず最愛ブランドへの飢餓感まっさかり、中毒症状が最高潮の時期がある(ブランド集中)。やがて当該ブランドの関連商品へ流れ(ブランドバラエティ)、他社類似商品にまで購買が拡散し(ブランド拡散)、いつの間にかロイヤルティーを忘却する(ブランド忘却)。しかし中毒持ちゆえ帰巣本能というか、再び最愛のブランドに帰ってくるのだ。余談だが、こんなにみながわ製菓を持ち上げたところで、一銭も筆者の懐には入ってこない。無性に食べたくなる愛は金銭的な意味でも“無償の”愛なのだ。

 こうして「みながわ2品→大辛柿乃種(越後製菓)→幻のみながわ→亀田製菓いろいろ→みながわ(最初に戻る)」という中毒循環を繰り返す。いわば地球に数年おきにやってくる惑星のように、偏芯した楕円軌道(オービット)である。

ブランドオービット

 マーケティングでは、「ブランドスイッチさせよう」「ロイヤルティーを高めよう」と言うけれど、それは自社中心主義過ぎる。消費者は商品ジャンルごとに、楕円のブランドオービットを持ち、満ち潮もあれば引き潮もある。忠誠心は“遠のき近付く”そんな関係性がある。

 例えば、商品ジャンルA群は横長のイビツな楕円で、中心点は右寄り。それはロイヤルティーの高い商品が存在する一方、商品バラエティが広がり、PBや低価格品が付け入る隙がある市場。一方、商品ジャンルB群は“真円”に近い。それは消費者が中毒していない“戦国状態”だと推定できる。ここには本格的な王道商品が必要だ。こういう仮説を描けば当該商品群の販促策も具体化する。まとめ買い、バンドル販売、関連商品投入などがロジックをもって実施できる。軌道をいかに作るか、いかに壊すかがポイントである。

 だが、価格・量目・流通・品揃えなどをにらんで、“軌道修正”ばかりではだめ。商品自体の持つ“中毒力”こそ軌道を作る引力の素なのだ。そこを忘れたマーケティングは不毛だ。

商品ジャンルA群
商品ジャンルB群

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マーケティング | 依存症


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