よく分からない“肩書き”に唖然としたことがあるみなさんへ(1/2 ページ)

» 2010年03月31日 08時00分 公開
[中村修治,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中村修治(なかむら・しゅうじ)

有限会社ペーパーカンパニー、株式会社キナックスホールディングスの代表取締役社長。昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。


 お笑いコンビの次長課長(じちょうかちょう)は、2人がアルバイトしていた居酒屋の社員だった次長さんと課長さんにお金をもらい、はげまされたことを恩にきて命名されたらしい。とても良いエピソードなのだが、「次長課長」と自分たちを名付けるセンスには、この“肩書き”社会を揶揄(やゆ)する部分があるに違いない。

 課長ならまだしも……次長である。いったい何の次なのか。その肩書きを見た人には、さっぱり分からない。部長と課長の間の「次長」で、部長の次だから「次長」なわけである。何か大人の配慮が見える典型の肩書きである。

 数年前、大きな印刷会社の営業の人の名刺を見たら、肩書きが「課長心得」だった。何を心得ているのだ。「そろそろ、課長だぞ」という立場を心得ているということか。うーん、その肩書きを見て、商談が盛り上がるとは思えない。ずーっと「心得」が気になって、この人は何を心得てここに座っているのかを聞きたくて仕方なかった記憶がある。

 同じような肩書きに「課長補佐」ってのもある。では、「心得」と「補佐」では、どっちが偉い人なのか。心得ている分、補佐する人より偉い気もするが、本当のところはどうなんだろう? 「係長→課長→部長→本部長」は、まだ比較的分かりやすい。ここに「補佐」「代理」「筆頭」「副」「心得」なんてのが入ってくると、ややこしくなる。

 さらにさらに、ややこしくする曲者が「主」である。「主任」「主事」「主査」「主任研究員」「主席」「主幹」「主担」。こうなったら、出世魚の順番でも覚える方が簡単である。

 そして、最近ではカタカナの肩書きが横行し、これに拍車をかける。2008年にgooが発表した「どういうポジションの人なのかよくわからない肩書きランキング」ベスト20は以下の通り。

1.エバンジェリスト

2.董事

3.パブリシスト

4.インテグレーター

5.フェロー

6.アーキテクト

7.バイスプレジデント

8.マーチャンダイザー

9.リードトレーナー

10.アソシエイト

11.参事

12.スーパーバイザー

13.主事

14.コンダクター

15.アナリスト

16.シニアスタッフ

17.次長

18.プロフェッショナル

19.最高情報責任者(CIO)

20.スペシャリスト

 「私は、社内のポジションは部長心得で、肩書きはエバンジェリストです」って、偉いのか、賢いのか、何をやっているヒトなのか……さっぱり分からない。

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