コラム
» 2010年03月29日 09時04分 UPDATE

藤田正美の時事日想:もはや“失われた20年”かもしれない、どんどん取り残されていく日本 (1/2)

低迷する日本経済のことを「失われた10年」といわれてきたが、ひょっとして“失われた20年”に陥っているのではないだろうか。長期的なビジョンが描けないのは政府だけではなく、企業も同じ。このままでは取り返しのつかない事態に陥るかもしれない。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 「失われた10年」どころか「失われた20年」になっている日本。しかも需給ギャップはまだ30兆円にも及び、それが一因にもなってしつこいデフレに取りつかれている。その中で、企業経営も右往左往しているように見えるのはどうしたことだろう。

 最近では高島屋とH2Oグループ(阪急百貨店と阪神百貨店)の経営統合の話が流れたし、その前にはキリンとサントリーの経営統合の話が流れた。経緯を詳しく承知しているわけではないが、乱暴な言い方をすれば、長期的なビジョンをどう描くかというところでつまずいているような感じがする。現在の日本市場の状態、そして展望に危機感を持っていれば、それをどう生き延びるかという選択が重要なはず。それを企業文化の違いとか、体質の違いなどで流すのは、あまりにも「近視眼的」に思える。

将来のビジョンがない日本

 もちろん国としての問題は、将来ビジョンがないことにつきる。民主党も長期ビジョンに欠けるという意味では、自民党と大差ない。子ども手当にしても、普天間基地問題にしても、「国民との約束」ということばかり強調するが、それが日本の将来の姿にどのようにつながるのかというところが見えないのである。

 子どもを社会が育てるというのであれば、その子どもたちに過大な負担を背負わせるようなことはすべきではない。要するに、借金をこれ以上増やすべきではないし、当然のことながら現在ある借金をどのように減らすのかという道筋も描かなければならない。選挙対策のようにも見える政策ばかりにカネが注ぎ込まれるという意味では、自民党時代と変わらないとさえ思える。

 もちろんGDP(国内総生産)の2倍近い政府の借金を減らすには、支出を減らして収入を増やすしかない。支出を減らすと言っても歳入の半分以上を国債発行に頼るような状況であることを考えれば、歳出削減だけでバランスを回復するのはとうてい無理だ。収入が増えるのは、景気がよくなって税収が増えるか、税率を上げて国民に負担してもらうとういことになる。

 しかし景気の現状から言えば、歳出を減らせるような状況にはなく、もちろん税収が増える見込みもない。税金を引き上げる(とりわけ消費税)こともいまの段階では不可能だ。だからこそ、長期的な日本経済のビジョンが必要なのである。日本の金融機関がいつまでも国にカネを貸してくれると期待するのは、あまりにも希望的観測にすぎるだろう。

日本がどんどん取り残されていく

 英エコノミスト誌の最新号は、英国特集である(関連リンク)

 いわゆるEU(欧州連合)の中でも、英国は今回の金融危機で深い傷を負った。IMF(国際通貨基金)の統計を見ると、2009年の成長率はマイナス4.8%(日本はマイナス5.3%)とドイツやイタリアと並ぶ。

 以下、エコノミスト誌の記事の要約である。ひところは欧州で最強の経済とされ、グローバリゼーションのモデルとされたのに、今や大陸欧州諸国からは「行き過ぎた自由化」だとバカにされる始末だ。国の借金はかさみ、GDPに占める政府支出はドイツよりも高くなっている。ストライキによって国家の機能がマヒするような状況にもあり、英国病という言葉が再びささやかれそうでもある。

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